アンケート調査

剣道における健康・安全のためのアンケート調査

2021年8月2日

2021.7 KENDOJIDAI

林明人(順天堂大学教授)

はやし・あきと/順天堂大学医学部卒業、米国ウイスコンシン州立大学脳神経内科准教授、筑波大学を経て、現在、順天堂大学医学部附属浦安病院リハビリテーション科教授。医学部脳神経内科教授併任。剣道六段。順天堂大学剣道部本部長、全日本医師剣道連盟事務局長、茨城県剣道連盟医学委員長。日本スポーツ協会公認スポーツ指導者。つくば市スポーツ少年団自燈剣道教室指導者。


 2020年4月に茨城県剣道連盟医学委員会を立ち上げて、剣道における健康・安全に関わるアンケート調査について、茨城県剣道連盟の小倉培夫会長、諏訪文夫専務理事のご賛同を得て企画、早乙女恭哉事務局長のご協力を得、県内の剣道団体の方々のご理解のもと実施することができました。

 まず、茨城県剣道連盟の医学委員会についてご紹介します。2020年4月1日に茨城県剣道連盟に医学委員会が発足しました。医学委員会の発足の目的は『剣道における健康・安全を確保する』ことにあります。健康・安全を確保することは生涯剣道の推進や剣道人口増加の推進にもつながります。

 医学委員会の組織としましては、林明人委員長(医師)、倉持利夫副委員長、石原明委員(医師)、川嶋久恵委員(医師)、新澤岳委員(医師)、藤田聡委員(医師)、北澤真理子委員(看護師)、草山美和子委員(書記)の8名に、アドバイザーとして水田重則範士と香田郡秀範士に加わっていただいています。コロナ禍の中、話し合いはすべてズーム会議で行いました。

 医学委員会の初仕事として4月初めに感染防止対策に関するガイドラインを発信したことに続き、5月には松崎賢士郎選手、水田重則範士および香田郡秀範士のメッセージや動画を企画して茨城県剣道連盟のホームページ上で配信しました。また、各地区でのガイドラインや剣道再開計画の作成などに助言を行い、茨城県剣連による剣道再開のための講習会も実施しました。審査が再開されてからは、審査会場でのアドバイスや救護などの活動も行っています。

 医学委員会の重要な活動の1つとして、2020年6、7月に『剣道における健康・安全に関わるアンケート調査』を行いました。

 アンケートの内容は茨城県剣道連盟から各職域の会長34名、名誉会長18名、地域/職域事務36か所、副会長16名などに郵送、茨城県剣道連盟HPにも掲載し、茨城県内だけでなく一部はホームページ上からは県外の方々にもアンケート調査へのご協力をお願いしました。

 アンケート内容は以下の通りです。

1、回答者の年齢・剣道歴

 回答数は328名(うち茨城県外から32名・男子253名・女性73名・男女の回答なし2名)。回答方法は、道場などのグループでまとめた形あるいは個々での回答があり、それぞれ郵送で20件、メールで74件、そのほかFAXなどでした。回答者の平均年齢は48・3歳(標準偏差:19・1歳)で50歳代、60歳代で約半分を占めていました(図1)。

段位は六段、七段の高段者が約6割を占め(図2)、剣道歴の平均は29・0年で40年以上が5割でした。(図3)

328名中の約3分の1の112名は剣道再開組であり、そのブランクの多くは5年から20年という結果でした。剣道を中断した年齢は、15歳から19歳、20歳から24歳が多く、中学・高校・大学卒業でやめたことが推察されました。また剣道を再開したきっかけは、子どもが剣道を始めたことが約3分の1と多く、再開した年齢が30歳から40歳代が多いこととも一致していました。(図4、5、6)

 剣道人口を減らさないために、中学・高校・大学を卒業して部活動を終えた後のバーンアウト防止対策、剣道を継続していくための環境対策、あるいは剣道を中断しても再開しやすくする工夫の検討が必要であることを改めて認識しました。

2、喫煙について

 喫煙率は21%(男性21%、女性0%)でした。喫煙歴があるのは56%であり、そのうちの多くは禁煙しているという結果でした。年齢別にみると、喫煙率は、20歳代8%、30歳代5%、40歳代23%、50歳代16%、60歳代37%、70歳代11%でした。健康で長く剣道を楽しむためには、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの生活習慣病をなくし、脳梗塞や肺がんの予防などの禁煙についての啓発活動を行うことが大切です。

3、自粛期間の一人稽古



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