インタビュー

【若手剣道家】実戦に通じる小手技 Part2

2022年5月23日

KENDOJIDAI 2021.3

確実に小手を一本に決める工夫

村方孔哉(福岡)
むらかた・こうすけ/昭和60年福岡県生まれ。長崎南山高から中央大に進み、卒業後福岡県警察に奉職する。全日本選手権出場、全日本東西対抗大会出場、全日本都道府県対抗大会2位3位など。現在、同警察第一機動隊所属・同警察剣道特練主将。剣道錬士七段

 小手技を磨くための本格的な取り組みを始めたのは20歳代後半になってからです。それまではどちらかというと面技中心でスピードや勢いに任せた剣道をしていたため、簡単に胴を返されて負けることも多く、いわば博打のような試合をしていました。しかし年齢を重ねるにつれ、団体戦で勝敗の鍵となるポジションを任されるようになり、博打のような剣道はいけないと考えるようになりました。

 私は小手を打突する際に下から打突する(剣先を下に落としてから打つのではなく、下から最短距離で裏に回すイメージ)場合が多く、下からの小手をイメージしながら読んでいただければ幸いです。

 私が現在小手を打突する上で意識していることは3点あります。

 1点目は面技の際も小手技の際も同じ攻め方、間合で打突することです。当たり前のことですが、面を打つ時と小手を打つ時の攻め方、間合が違うと相手に悟られ、簡単に逃げられたり、逆にそこを狙われることに繋がってしまいます。一見簡単なようでも、小手の方が近い位置にあるため打突部位に届きやすいので面と同じ間合に攻め入るまで我慢できずに打突してしまうことも多々あり、難しく感じています。攻め入る際、我慢することで溜めを効かせ狙いを悟られることなく打突の好機で打突することを心掛けることで地力もついてくると考えています。

 2点目は手打ちにならないことです。 剣道には「手で打つな足で打て、足で打つな腰で打て」という教えがある通り、手打ちになってしまうと部位を捉えていても有効打突にならないことが多々あります。前述の通り、小手は面よりも近い位置にあります。同じ間合から打突すると当然小手の方が届きやすく、手を伸ばすだけで届いてしまうので、足が出ず、上半身が前傾姿勢になり身体の崩れた状態での打突となり、その結果手打ちとなってしまいます。そのようにならないためにも、私は基本稽古の時に構えた状態から極力手を伸ばさず身体全体で打突することを意識して取り組んでいます。

 3点目は打突部位を点でとらえることなく面で捉えることです。簡単に言えば、打突部位に竹刀の打突部が当たる面積を広くするということです。小手技を有効打突にするためには打突音も非常に重要であると考えており、どう打突すれば打突音がよく冴えのある打ちができるかを試行錯誤し、剣先の点で捉えるのではなく、面で捉える打ち方が有効であるという風に考えています。

 ポイントとしては、前述とも重複しますが、打突する際に手を伸ばさないこと、打突部位に当たる瞬間に左拳が備えている左拳の位置から若干下に落とすイメージで打突することです。

 以上3点が、現在私が心掛けて実践している小手打ちです。未熟な技ではありますが、私自身小手技を磨くことで剣道の幅が広がったことは間違いありません。小手を攻めることにより相手が小手を警戒し面が打てる状況をつくることができますし、面を攻めることで小手を打てる状況をつくることもできます。相手の得意技や体格等によって攻め方は変わってきますが、自分が打ちたい部位と違う部位を攻めて警戒させることは非常に有効です。上手くいかないことの方が断然多いですが、その駆け引きも剣道の醍醐味だと思っています。

 攻め方、打ち方等は人それぞれだと思います。私も小手を得意とする先生方や選手の方々に指導を仰ぎ、現在の打ち方を構築しました。今回このような機会をいただき、大変恐縮ではありましたが、現在の特練選手である私が取り組んでいることをご紹介しました。一つの参考としていただき、自分の攻め方、打ち方を見つけていただければ幸いです。

小手の練度を上げるための5つのポイント



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