KENDOJIDAI 2019.6
中央大学はコーチ陣が豊富なのも特徴の一つだ。北原監督と部員たちを支える立場として、コーチにはなにができるのか。上原祐二助監督、宮本浩平、齋藤将吾両コーチに自分たちの役割について語ってもらった。
プロフィール
![](https://kendojidai.net/wp-content/uploads/2020/05/chuo-coach-01-e1588934408258-768x1024.jpg)
昭和56年生まれ、福岡県出身。福大大濠高校から中央大学に進学し、卒業後は富士ゼロックス㈱に入社。平成14年卒。
![](https://kendojidai.net/wp-content/uploads/2020/05/chuo-coach-02-e1588934468893-768x1024.jpg)
平成4年生まれ、香川県出身。明徳義塾高校から中央大学へと進み、卒業後は職員として大学に残り後輩の指導にあたっている。平成27年卒。
![](https://kendojidai.net/wp-content/uploads/2020/05/chuo-coach-03-e1588934485571-768x1024.jpg)
平成2年生まれ、秋田県出身。秋田南校校から中央大学を経て、NTTに就職。本年よりコーチを任されている。平成25年卒
24年ぶりの学生日本一
―今日はお集まりいただきありがとうございます。今回は「コーチの役割」というテーマで、それぞれ自分ができること、やらなければならないことなどを語ってもらえればと思うのですが、まず、後輩たちが学生日本一に輝いたことについて、なぜ優勝することができたのか、それぞれの思うところを聞かせて下さい。
齋藤 私は今年から指導陣の一人に加えさせていただきました。稽古にくるようになって感じたのは、今の学生の方が自分たちのころよりも数倍努力しているということです。
自分たちも努力はしてきたつもりでしたが、部全体の稽古に対する意識がより高くなっていると思います。この意識が、最後の厳しいところをものにする背景となっているのではないでしょうか。
宮本 その部分は私も感じています。2年生が率先して自主練習を重ねていて、当然そういう人間は強くなっていきますし、上級生も負けていられないという気持ちになります。
剣道部全体で切磋琢磨できる環境になってきたことが、剣道部の底上げにつながったのではないかと思っています。
上原 昨年のチームは、良い意味で4年生の色が薄かったと思います。チーム全体として日本一になるためにはどうしなければならないかを考えることができました。
一番顕著だったのは1年生の仕事についてです。寮生活ですから、どうしても1年生は寮の仕事に追われて稽古がおろそかになることがあります。
しかしそれでは本末転倒ですから、今後は4年生も積極的に仕事をしながら、全員が稽古に集中できる環境をつくっていこうということになりました。これは我々が学生の時代には考えられないことです。
それと、今、宮本コーチも言いましたが、昨年優勝に貢献した清家や黒木、そして同学年の山崎という2年生の頑張りが、部に大きな影響を与えていると思います。
彼らの努力を4年生が見逃さなかった、そのバランス感覚が優勝につながった気がします。
宮本 剣道部全体がまとまってきたという意味では、全日本当日も、選手自身の意見によってオーダーを組み替えたりする場面がありました。たとえば上位の対戦では、本来は清家を先鋒として起用する予定でしたが、本人に確認した上で相手との相性を考えて配置換えをしました。
これは指導陣と選手のコミュニケーションが密にとれていた産物だと思います。
上原 これまでは北原監督にすべてを任せっきりでしたが、今大会は我々の意見も積極的に伝えて、取り入れていただいた上で、最終的な判断を下していただきました。
これまでと今回で一番何が違ったのかと言えば、そのコミュニケーションの部分だと思います。
日々の稽古
宮本 道場での稽古にしても、去年は今までにないメニューを取り入れてきました。学生が高校時代に行なっていた稽古方法を聞いて、優勝を勝ち取るためにどの稽古が一番効果的なのかを考えたりしました。
上原 中大の稽古は、とにかく「勝利」を目的としています。北原監督は「一本にこだわる」という表現をされていますが、稽古はすべて、試合を想定したものになっています。我々が学生のころもそうでしたが、今はさらに、時代に合った稽古法になっていると思います。
齋藤 これまでは「どれだけ効率的に稽古をして勝つか」というのが中大の一つのポリシーでもありました。それがともすれば楽な稽古へと流れがちな部分もあったのですが、今はきっちりと稽古をして、そのなかで強くなるための効率化をはかっているようなかたちです。
上原 昔の中大は線が細くて、うまさで勝っている印象でした。今の学生たちはそのうまさに加えて、稽古の強化によるフィジカルの強さも持ち合わせているので、卒業してもさらに上のステージで勝負ができるようになってきています。
宮本 稽古外ではトレーニングも充実しています。トレーナーさんにレクチャーしていただきながら、剣道に必要な筋肉を鍛えることができているので、フィジカル面はかなり強化できているはずです。
―強くなることに対する意識がかなり高まっているという雰囲気でしょうか?
上原 そうだと思います。基本のマインドが上がったというか。4年生にもなると、自分はレギュラーにはなれないと諦める人間も出てきますが、昨今はそういうことがなくて、みんながレギュラーになって活躍するために、日々の稽古で自分を追い込んでいます。
齋藤 私が学生のころは、稽古後に自主練習をしている人間はほとんどいませんでした。それが今は、多くの部員がふたたび面を着けて稽古しています。強くなるのも当然だなと感じます。
宮本 今の2年生は本当に稽古をしますね。学年全体で盛り上がっています。全員が一緒の方向を向いて、まわりを巻き込もうとしている。それが部全体に良い雰囲気をつくり出しています。
残りの記事は 剣道時代インターナショナル 有料会員の方のみご覧いただけます
No Comments