上質の基本稽古

上質の基本稽古(岩立三郎)

2022年2月21日

KENDOJIDAI 2022.2

素振り、打ち込み、切り返し。平素から基本稽古を地道に繰り返すことが上達の近道と言われているが、その方法に瑕疵があったら一大事。基本稽古は応用につながってこそ基本である。質の高い基本稽古を一流剣道家から学ぶ。

撮影=笹井タカマサ

「指摘されたことに対して素直に聞く耳を持つことが大事です。ここが修錬の始まりだと思います」と岩立範士は言う。1回の稽古を充実させるには課題を明確にし、常に工夫・研究することが大切だ。

岩立三郎範士

いわたて・さぶろう/昭和14年千葉県成田市生まれ。成田高校卒業後、千葉県警察に奉職し、糸賀憲一、馬渕好吉などの各師範に指導を受ける。千葉県警察剣道師範を経て退職。現在は千葉県松戸市にある松風館道場にて幅広い年代の指導にあたる。

全日本高齢剣友会会長、全日本剣道道場連盟副会長、尚美学園大学剣道部師範。剣道範士八段。

昇段審査は自分の得意技を全身全霊で打ち切ることが重要

 昇段審査は、第三者(審査員)に自分の剣道を評価してもらうものです。自分がよいと思っていても、審査員が評価しなければ合格を手にすることはできません。したがって日々の稽古で、しかるべき指導者に稽古ぶりを見てもらい、欠点などを指摘してもらうことが大事です。師匠を持つことはなによりも重要です。

 日本武道館で開催された八段審査会は、1日目は7人、2日目は5人が合格を手にしました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で稽古がまだまだ十分にはできていない状況です。2日間、審査員として立合を拝見しましたが、全身全霊で打ち切るような技がなかなか出ませんでした。

 一、立礼の位置、二人同時の礼の位置と礼法。
 二、蹲踞は早からず遅からず相手に合わせて膝と下腹に力を入れる。
 三、立ち上がったら中心を取るつもりで右足を相手の股間に向ける。
 四、剣先は相手の中心を攻め、決して右方向に回らない。
 五、立ち上がったときは既に先を取っている状態に持っていくこと。
 六、この時、下腹に力を入れ、上体の力は軽く両手の手の内も軽くする。
 七、とくに間合は自分がいつでも打てる間合が大切。自分の打ち間を知っていること。
 八、技は自分のいちばん得意なものを出し切ること。



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