14年という長い期間、剣道特練員として活躍し続けたが、その原動力となったのは、「勝負の世界で戦い抜ける体をつくろう」という意識だった。
世界大会や全国警察大会団体・個人をはじめ各種大会で活躍した大城戸錬士に「自分の特徴を生かしたトレーニング」についてうかがった。
大城戸 知 錬士七段
今年、14年つとめてきた剣道特別特練員を大きな怪我もなく無事終え、今年春より生野警察署に赴任しました。
私にとっての特練生活は「勝負の世界で戦い抜ける体」を意識した14年でもありました。「稽古前の準備運動」「ストレッチ」「補強」といったポイントを重視してきたことが、ハードな毎日を乗り切れた要因ではないかと思います。
若い頃は体力があり、力任せな部分がありました。若さゆえに体力的にハードでも無理にやり切ってしまうところがあり、体への負担は相当あったと思います。しかし、数年過ごすうちに怪我なども増えていきました。また、怪我で休んでいる時やスランプの時期にどんどん後輩たちが活躍していて「このまま特練生活を終えるのか」と、歯がゆい思いをした時がありました。
そこで「勝つためにどうしたらいいか」と試行錯誤するうちに、「勝つためには、厳しい1年を戦い抜ける準備が必要。どうしたら毎シーズンを戦い抜ける体を身に付けることができるか」を考えるようになりました。
幸いにも、全剣連の強化訓練講習会(世界大会日本代表選考合宿)に呼んでいただいた際に、トレーニングコーチの先生方から色々とご指導をいただいてトレーニング・食事面など知識を増やすことができました。
また、「自分が置かれている状況を客観的に見つめ直そう」とも考えるようになりました。私は下半身の筋力が弱いと感じていたので、そこを補うトレーニングを始めました。また、私は遅筋が多いタイプで、持久力はあるのですが速筋が弱く、瞬発力がないと感じていました。そのような特性を剣道に活かさないと思いました。「自分の長所を生かす」「怪我をしない体・激戦を戦いぬけるだけの体力や筋力のある体」をめざしました。そうして「これで結果が出なければ仕方がない」と思いながらやってきました。
特練員たちは、1年のうち、試合数については多い人でも年間で10試合もない位だと思います。予選の日については大体決まっていますから、残りの約355日をどのように配分して戦っていくか、目標設定をしながら一人稽古も行なっていました。いくつか行ないましたが、とくに下半身に負荷をかけた素振り、筋力トレーニング、縄跳びに時間をかけました。
ここ数年は新型コロナウイルスの流行で稽古や試合は中止となっていましたが、昨年12月の全日本都道府県対抗大会の予選では優勝ができました。37歳になっていましたが、結果に結びついたのは取り組みの成果であると、自信にもつながりました。
私にとって、14年の生活の中でも30歳を越えてから試行錯誤した時期がとくに濃密な思い出として残っています(大城戸知教士は32歳で全国警察選手権・個人戦優勝、35歳で世界大会日本代表主将をつとめる)。
年齢が重なれば重なるほど、剣道に対する「こだわり」が増えてきます。しかし、変えてはならないところと、変えるべきところを自問自答しながら常に自分を磨いていたいと考えています。
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