インタビュー 横浜七段戦

再起不能のケガを乗り越え、七段戦を制す

2020年4月6日

世界大会で鎬を削る韓国から2名の招待選手を迎え、18 名で覇を競うこととなった今年の七段戦。決勝へと勝ち上がったのは初出場の中野貴裕選手(京都)と、3回目の挑戦となる岩下智久選手(千葉)だった。勝負を決めたのは延長で中野選手が放った面。平成24年に再起不能の大ケガを負った選手のカムバック劇に、竹刀を交えたライバルたちからも自然と祝福の拍手が漏れた。3位には内村良一選手(東京)と米屋勇一選手(埼玉)が入賞。韓国選手の奮闘もあり、日韓戦の様相も呈した今大会は、七段戦の新たな幕開けとも言えよう―。

大震災復興支援
第7回全日本選抜剣道七段選手権大会

令和2年2月2日㈰ 神奈川県・神奈川県立武道館
主催/神奈川県剣道連盟 共催/剣道時代(体育とスポーツ出版社)
協力/日本剣道振興協会 後援/神奈川県、神奈川新聞社

「剣道はもうできないと言われても、
好きだから、諦めずに続けてきた」

中野貴裕教士七段 (京都・39歳)
京都府警察舞鶴警察署所属 初出場
日吉ヶ丘高校→法政大学→京都府警察
主な戦績:全日本選手権大会ベスト8、世界選手権大会出場、全国警察大会個人2位・団体3位、全日本東西対抗大会出場など

―初出場初優勝、今の率直な気持ちを聞かせて下さい。
中野 出られるだけで名誉な大会に選手として選んでいただいて、さらに優勝まですることができて、大変うれしく思っています。

― 予選リーグを振り返っていただけますか?
中野 1試合目は自分でも硬いなと感じていましたが、試合をしていくに連れて〝覚悟〟が決まり、調子が上がっていったように思います。

―中野選手の言われる〝覚悟〟とは?
中野 相手の間合に攻め入る勇気ですかね。身長が大きい方ではないので、いかにして間合を詰めて勝負していくかが肝になると考えていました。

―決勝トーナメントに入ってからの手応えはいかがでしたか?
中野 一戦一戦が勝負ですから、覚悟を決めて逃げずに勝負していく、それだけを考えて戦っていました。

―決勝戦は法政大時代の一学年先輩にあたる岩下選手との対戦になりました。
中野 決勝戦に限らず、今大会に出場している選手は素晴らしい方ばかりなので、胸を借りる気持ちで臨みました。

―全国区の大会では初の個人タイトルともなりました。
中野 決勝戦の前に木和田選手から「気負わずいつも通りに」と言われ、その言葉で気持ちがすごくラクになりました。これまでは2位で終わることが多かったので、何か一つタイトルを獲りたいという強い気持ちは持っていました。

―はじめての優勝の味はいかがですか?
中野 まだ実感が湧いていないので、これからその味を感じていきたいと思います(笑)。

―中野選手は平成24年に大きなケガを患っています。ケガは完治されたのでしょうか?
中野 痛みは今も続いています。今日は手術をしていただいたドクターも応援にきていたので、優勝できて本当に良かったです。ケガをしたときは再起不能と言われていたので、今、剣道ができていることが本当に幸せだと感じます。大ケガをした選手に勇気や希望を与えるような試合ができればと思っていました。

―優勝をつかみ取ることのできた一番の理由は何だと思われますか?



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