剣道の技 構え

左足を意識することで構えが変わり、剣道が変わった

2020年6月1日

2019.5 KENDOJIDAI

端正な構えから繰り出される鋭い打突で次々と強豪選手をなぎ倒し、七段戦で優勝を遂げた橋本桂一選手。橋本選手は構えについてどんな意識を持っているのか、その構えは打突とどのようにつながっているのか、それぞれの要点を聞いた。

プロフィール

橋本桂一(はしもと・けいいち)教士七段
昭和55年埼玉県生まれ。京北高校から帝京大学に進学し、卒業後、伊田テクノス㈱に入社する。主な戦績として、全日本選抜七段選手権大会優勝、全日本選手権大会出場、国体優勝、全日本都道府県対抗優勝大会優勝、全日本実業団大会2位などがある

スピードに頼った剣道から相手を遣う剣道へ

今年も七段戦に出場させていただきました。昨年はチャレンジャー精神で戦えたことが優勝につながったと感じていたので、今年も同じ精神状態で戦おうと試合に臨みました。結果はベスト8でしたが、やはりあの舞台はとても居心地の良い場だと感じています。

16名の選手の剣道観や技術レベルがある程度近いところにあるので、地力で勝負ができる。今、自分が目指している剣道が一番表現できる大会だとも感じています。

この話は今回のテーマでもある「構え」につながってくると思うのですが、私は35歳あたりから、自分が目指す剣道と剣道はこうあるべきというところが合致してきた感覚があります。そのきっかけは、元警視庁剣道主席師範の遠藤正明先生(範士八段)でした。

遠藤先生が主宰する所沢正武会の稽古をし、その後の懇親会に参加させていただいたときのこと、遠藤先生から突然「橋本、中高生相手にスピードで勝負してはダメだ。剣道は相手を遣うんだ」と言われました。

そのときの稽古を思い出してみると、たしかに学生を相手にするときはスピードで勝負をしていました。遠藤先生はそれ以上言われませんでしたが、自分のなかでは先生の言葉がとても心に残っていて、その言葉をなんとか噛み砕いて自分のものにする努力を続けてきました。

それから数ヶ月経って気づいたのは、相手を誘うことの重要性です。これまでは、たとえば相手が手元の上がりにくい人であれば、手数を出してなんとか隙をつくり出そうとしていました。

しかし、こちらの攻め気が強すぎるため、相手がすぐに防御に回ってしまい、打突の機会を得ることができていませんでした。それが、今回の一件で相手を誘うことを意識するようになると、相手が打ち出すその起こりが何となくですが感じられるようになりました。

分かりやすく言えば、狙って出ばなが打てるようになったというか、これは私のなかでとても大きな気づきでした。

左足を意識して構えることによって、「タメ」ができて出ばなをとらえられるようになったという橋本選手。ほかにも、返し技などバランス良く技が出せるようになった

どうやって構えれば一番理想的に技が出せるか



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