連載 阿部晶人の剣道ブラックボックス

剣道と恋愛は似ていませんか?(阿部晶人)

2020年12月22日
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KENDOJIDAI 2021.1

2020年もあとわずか。剣道愛好家の皆様いかがお過ごしだろうか?年の瀬が近づいて来ると、街にも活気が戻ってきたように感じる。今年はコロナであまり派手にはできないものの、どの店もハロウィーンのデコレーションで店頭を飾り、それが終われば一瞬でクリスマス仕様へと模様替えが行われる。なんだか活気を感じるのは、この時期が経済を動かすための熱気だけでなく、人間の感情も大きく動く季節だからなのかもしれない。クリスマスは誰かから誰かへの「気持ち」を伝え合う季節だ。大人から子供へ、夫から妻へ、友から友へ、そして恋人から恋人へ。気持ちを伝えたい思いがそこらじゅうに飛び交って、街に活気を生んでいるのかもしれない。

阿部晶人(あべ・あきひと)

昭和49年大阪府生まれ。慶應義塾大学福本修二ゼミに在籍時に世界初といわれる剣道のホームページ(www.isenokami.com) を制作。 (株) 電通、オグルヴィ・ワン・ジャパン(株)を経て現在、面白法人カヤックに勤務。インターネットを中心とした広告クリエイティブ開発やキャンペーン企画立案に携わる。 国内外のアワードを受賞多数。1997年より全日本剣道連盟情報システム委員。剣道三段。Twitterアカウントは Akihito_ABE

剣道は恋愛に似ている!?

 特にこの季節は恋人たちの熱量が凄まじい。かの剣豪宮本武蔵は「独行道」の中で「れんぼ(恋慕)の道思ひよるころなし。(恋愛に関心を抱くな)」と説いた。剣を志す者にとって、恋愛は余計なものだということなのであろう。確かに稽古中に意中の人のことばかり考えていたら即打たれてしまいそうではある。しかし毎回やってくる恋愛熱量の高いこの季節になると、私は「あれ?でも剣道と恋愛って、似てるよね?」と感じることが多々ある。剣と恋愛を遠ざけるよう後世に言い残した宮本武蔵先生には大変恐縮だが、今回は剣道と恋愛の類似性について、そして後半は剣道関連のクリスマスプレゼントについてご紹介したい。

どちらもひたすら見つめ合う

「恋に言葉は要らない」とよく言われるように、恋愛は言語を超えた部分での感情のやりとりである。剣道も発声はするものの、基本はじっと相手を見つめ、言葉ではなく竹刀や気配で相手の心を読み取るものである。ノンバーバル(非言語)なコミュニケーションによって相手の情報を収集し、次のアクションを決める意味では同じではないだろうか。相手の目をじっと見続ける行為って、剣道と恋愛しかないのかもしれないとすら思う。

どちらも周りが見えなくなる

「恋は盲目」という言葉も知られている。心に決めた人がいると、他の事が一切気にならなくなってしまう。一方剣道も、真剣に立ち会っている間は、たとえ周りに1万人の観客がいたとしてもまったく気にはならないだろう。見えていないも同様。周囲の環境に左右されず、二人きりの世界を楽しむ意味でも、剣道と恋愛は似ているのである。

どちらも忍耐力が試される

 恋愛は言ってみれば、それまで全く生活環境の異なる人間とのコミュニケーションである。となれば、価値観や振る舞いの違いは出てきて当然。そんな場面になったときにカッとならず、じっと我慢して逆に相手の良いところを見つけられるかどうかが大切。剣道も不用意に打ち込むことはご法度。ここぞという場面まで気持ちを抑える忍耐力が成就につながるのである。

どちらも打ち込んでなんぼ

 武蔵先生の言葉には「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を練とす」というものがある。1000日の稽古で技を取得し万日の稽古でその技を練り上げるという、剣道愛好家なら誰もが知っている努力の大切さを説く言葉だ。剣道も恋愛も、その道に打ち込んで、打ち込んで、打ち込むことが、いつかの日かの大勝利を招く意味では同じである。

どちらも激しくぶつかる

 恋愛も剣道も、基本は静かにじっと見つめ合うが、時には激しくぶつかり合うことが大事だ。お互いの思いや食い違いを持ったまま過ごすのではなく、感情をちゃんとぶつけ合うことでお互いを理解してこそ、次のステージへと進める。静かだった剣先での攻め合いから一転して、激しい技の応酬になる剣道のように。

どちらも攻め口が色々

自分の思いをストレートにぶつけることは大事だが、それは大きなモーションをつけてまっすぐ振り下ろす基本の面打ちかもしれない。少し竹刀を叩いて反応を見る、足を使って揺さぶってみる、担いで相手にリアクションさせる、など多彩な攻め口での攻略が必要。良い攻めで鮮やかに打たれたら、打たれた側も気持ちが良いことも共通点かもしれない。

どちらも「すき」を逃さない

 この辺からちょっと強引な結びつけになってきますがご了承ください(笑)。恋愛では相手側が自分に対して思っている「好き」な気持ちにしっかり気づけることが大事であるし、剣道ならば相手の「隙」をすかさず打ち込むことが肝要。どちらも「すき」を逃してはならないのである。わざと「すき」を見せるテクニックも共通して重要な技である。

どちらも「あい」に包まれる

 恋愛で大切なことは、そこに本当の「愛」があるかどうか?である。相手の収入や家柄、地位を目当てにした恋愛ではなく、人間として尊敬し合えるかどうか?良い部分も悪い部分も含めて受け入れることができるか?そういった深い部分で絆を作り続けられる関係になれれば、二人は愛に包まれるだろう。一方剣道でもなるべく多くの時間を剣道に費やし、「藍」で作られた剣道着に包まれることが上達への道である(かなり強引)。

愛を深める剣道ギフト

 ということで、やや強引な部分もあったが剣道と恋愛の類似性について、具体的根拠をいくつか挙げさせていただいた。つまり、今恋愛をしている人はそれを剣道に転用すれば強くなれる可能性もある(かも)ということである。よくよく工夫されたし。

 愛情は目に見えないものだが、クリスマスにはそれを見えるカタチ(=クリスマスプレゼント)で渡す必要もあるだろう。そこで最後に剣道好きな相手向けへのグッズを紹介したい。やはり剣道好きなら剣道グッズが欲しいはず。以前からこのコーナーでも紹介してきたイラストレーターの横山千裕さん、そして数年前に水彩画家の矢野元晴さんに描いていただいた剣道のイラストを使って、様々なグッズを作ってみた。その一部を写真で紹介する。剣道関連のグッズはとかく文字がびっしりと書いてあったり、デザイン性が低いものが多かったので、なるべくシンプルに、かつ普段でも使えるものを意識して開発してある。実はこれ以外にも色やサイズ違いで200種類ぐらいの商品を作ってみた。マグカップからトレーナー、スマホケース、トートバッグ、ノートパッドなどなど、日常で使いやすいものを揃えたので、意中の相手とペアで揃えるも良し、お世話になった剣道の先生に贈るも良し、恋愛成就、剣道成就に是非ご活用いただければ幸いだ。

詳細は以下をご覧ください。
https://suzuri.jp/isenokami

 と、ここまで書いて朗報が入ってきた。延期になった全日本剣道選手権が、来春開催されることが決まったとのこと。長野県で男女同時開催、しかも日取りはホワイトデーである3月14日とのこと。おや、やはり恋愛と剣道は共通点があるのかもしれない。

写真協力:KENDOFAM

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