剣道の技

刃筋を正す鎬を使う(角 正武)

2021年11月22日

2019.6 KENDOJIDAI

本来あるべき刀法に則して、もっと深い剣道強い剣道をめざそう。一つ刃筋正しく打つ。そもそもこれは有効打突の条件である。一つ鎬を使い応じて打つ。すり上げ技、返し技がこれで見事な一本になる。刃筋と鎬の上手な使い方教えます。

角 正武(すみ・まさたけ)範士

昭和18年福岡県生まれ。筑紫丘高校から福岡学芸大学(現福岡教育大学)に進む。卒業後、高校教諭を経て母校福岡教育大学に助手として戻る。福岡教育大学教授、同大学剣道部長を歴任。現在、福岡教育大学名誉教授、同剣道部師範、九州電力剣道部師範、筑紫丘高校剣道部師範。剣道範士八段。

腰を入れて打つ
竹刀の物打ちに力を凝縮させる

 有効打突の条件に「刃筋正しく打つ」と明記されているように、剣道は刃部で打つことが求められます。また、日本刀には鎬があり、竹刀でも鎬の作用を巧みに遣うことで効果的な攻めを施すことができ、応じ技を遣うこともできます。

 面・小手・胴・突きの各部位に対する基本の打ち方が、面技・小手技・胴技・突き技として発揮できるようになるには、基本から応用への発展過程における課題を知ることが大切になります。

 基本の打ち方が、対人的技能(技)として発揮されるためには、基本の打突に運動の効率性、すなわち最小のエネルギーで、必要にして充分な最大の効果を生む能力が加わらなければなりません。当然、基礎・基本に則った打ち方を身につけなければならず、刃筋や鎬を意識しなければなりません。竹刀操作においては、上肢のしなやかな動きを円滑に竹刀に伝道する技能、足さばきにおいては、鋭い攻め込みを生むための送り足、さらに全身の鋭い前進運動を生むための左足の支えによる右足の素早い振り出しと力強い踏み込み技能を協調させることが重要課題となります。

 大人の基本稽古は、お互いに打突部位を決めて打ち合うものが主流になっていますのでまずは面打ち、小手打ちの注意点を紹介します。

 昨今では前傾姿勢で頭から突っ込むような面打ちが初級、中級の若年層によく見られますが、六段、七段、さらに八段をめざすのであれば、腰の入った面打ちをめざしたいものです。

 面の基本は、物打ちの部分に最大限の力が凝縮された切れ味の良い打ちでなければなりません。

手首のスナップだけでなく、上肢の上下運動を伴い、打突部に力が加わる方向は前方ではなく、斜め下方向に打ち切るのです。そして体軸を安定させるために、腰始動で打つことが求められます。

 小手は、面と同じ太刀筋で振り下ろすのが本来の打ち方です。肘・肩を使ったしっかりとした振り上げで打っていかなければ冴えのある技にはなりません。小手は、基本的に相手がただ構えているところに打っても一本とはなりません。相手の変化を察して打たなければなりませんので、必ず元立ちが起こりをつくって打たせるようにします。

返し技・すり上げ技
竹刀操作は曲線的に遣う



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