2022.10 KENDOJIDAI
撮影=笹井タカマサ
取材=栁田直子
今年7月に行なわれた第70回全日本学生選手権大会(個人戦)にて国士舘大学の岩部光選手が優勝した。国士舘勢としては13人目のチャンピオン。また、関東・全日本の連続優勝は史上4人目の快挙だった。
今年4年生だった岩部選手にとって、学生個人戦で優勝する最後のチャンスだった。並々ならぬ思いもあったことだろう。
岩部 光

最後のチャンスだと覚悟を決めて臨んだ
「1年生の時は新型コロナウイルスのこともあって出場ができず、3年生になってようやく出場できましたが3位という結果に終わりました。日本一をずっと追いかけて剣道をしてきましたし、また、今回はラストチャンスということで、今までお世話になった先生や仲間たちへの感謝の気持ちをもって絶対に優勝するという思いで試合に臨みました」
昨年の3位入賞という結果は立派だが、日本一のみを追い続けてきた岩部選手にとっては悔しさしかなかった。今回は夢をつかむためのラストチャンスだった。
「3年生の時は、もしかしたら『来年もある』という気持ちがどこかにあったのかもしれません。今回は本当に最後だったので、先生方に助けていただきながら稽古で自分を追い込んできました」
先立って行なわれた関東大会個人戦では初優勝。しかしここで気を緩ませることなく、全日本まで「ハングリー精神」を忘れずに取り組んできた。
「相手に向かっていく気持ちを忘れず、攻めること、集中することを大切にしました」
大会当日は緒戦から二本勝ちで絶好調。
「誰が相手であっても一戦一戦集中することだけを考えていました」
気持ちが途切れることなく、次々と勝利を収めた岩部選手。決勝では大平翔士選手(筑波大)に対し延長戦の末返し胴を決めて決着した。
「最後、決勝の時だけは『あと一試合だ』と思いましたが、気持ちは途切れることなく、目の前の試合に集中していました。返し胴を決めた時は自然と体が出ました」
優勝を決めた時、念願の日本一を決めた喜びと、今までお世話になった先生方、仲間たちのことが頭に浮かんだ。
「今回の優勝は自分一人で手に入れたものではありません。先生方にご指導をいただき、ともに稽古してきた仲間のおかげです。準々決勝では水戸葵陵高校で一緒だった棗田龍介選手と対戦できたことも嬉しかったです」
剣道を通じていただいた教えや経験はすべて日本一につながっていたのではないか、と感じているという岩部選手。勝って兜の緒をしめて、次は団体戦日本一をめざす。

気持ちが切れない稽古
より内容を見直した
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