剣道の技 攻め

三つの隙をとらえて打て(林邦夫)Part1

2023年2月20日

2022.10 KENDOJIDAI

撮影=西口邦彦

隙は「構えの隙」「動作の隙」「心の隙」の三つがあり、「隙が無かったら崩して打て」と言われる。剣道上達に欠かせない隙をとらえる技術とは。

林邦夫

はやし・くにお/昭和19年岐阜県生まれ。中京大学スポーツ科学部名誉教授、中京大学体育会剣道部師範、剣道範士八段。

「隙をとらえて打つには、隙を打たせて打つことも大切です」と林邦夫範士は強調する。年齢とともに伸びていく剣道をいまも追求している林範士が実践する隙を積極的にとらえるための方法を紹介する。

柳生新陰流との出会い

 わたしは40歳で競技剣道に区切りをつけ、「良い剣道」「良い稽古」をめざして稽古に取り組んできました。しかし、長年の悪癖はなかなかなおすことができず、試行錯誤しながら矯正することに努めてきました。京都大会の高段者の先生方の立合、八段審査における合格者の内容を分析することも続けてきました。そして理合剣道の必要性を強く感じるようになったのですが、稽古を続ける中で技術的、精神的にも行き詰まりを感じていました。そんなとき、第21世柳生延春平厳道先生から柳生新陰流を学ぶご縁をいただきました。

 柳生新陰流の特色を柳生先生から以下のようにご説明いただきました。

「柳生新陰流は、『懸待表裡、一隅を守らず』の教えに代表されます。『懸』とは、先制攻撃でやられる前にやってしまう。『待』とは、相手が斬ってくるのを待ってやっつけることです。『表裡』とは、表と裏の事で、『表』から攻めて勝つ、『裏』から攻めて勝つ事ことです。『一隅を守らず』とは、一つの事に、一方に、一カ所に偏らない、拘らない、留まらないなど、それ一辺倒になってはいけない事です」

 さらに、「懸かりは懸かりにあらず、待は待にあらず」「懸かりは意、待にあり。待は意、懸かりにあり」と説かれ、「『懸』は先制攻撃で切り込んでいくけれども『待つ』と言う気持ちが必要です。『待』は相手が切り込んでくるのを待つけれども常に『懸かり』の気持ちがなければならない。これが『懸待一致』です」。

心法について先生はこのように説明されたのです。



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