足さばき

徹底足さばき特訓(門野政人)

2026年3月30日

2026.4 KENDOJIDAI
撮影=西口邦彦
*本記事に掲載された画像の無断転載・使用を固く禁じます。

城北中学・高等学校で教鞭をとる門野教士は毎月1回、稽古会「無門会」を主宰し、一般愛好家と汗を流している。基本を重視した指導は好評で、一拍子で正しく打ち切る技能の習得をめざしている。その技能習得には正しい足構えを身につけることが不可欠と強調する。

門野政人教士八段

かどの・まさと/昭和40年千葉県生まれ。県立野田北高校(現野田中央高)から、開学したばかりの国際武道大学(一期生)に進学する。卒業後は教員の道に進み、現在は城北中学・高等学校で教鞭を執る。

重心移動を常に意識
〝蹴る〟から〝押し出す〟へ

 城北中学・高校の教員となり、37年となります。その間、多くの剣道部員を指導する機会をいただいており、今回のテーマである足さばきについても、細かく指導をしています。足さばきは、相手を打突したり、かわしたりするための足の運び方であり、体さばきの基礎となるものです。

 本校の剣道場の床は、無垢の杉材を使用しており、一般的な体育館の床に比べると、かなり滑ります。それゆえ、構えをしっかりとつくり、正しい姿勢から技を出さないと姿勢が崩れやすくなります。悪癖といわれる「跳ね足」「撞木足」からでは正確に技を出せないので、基礎・基本である足さばきを継続的に行ない、正しい技能を習得することが必須となります。

 跳ね足は、技を打った後に、左足が地を這うように素早く引き付けられず、上方に「跳ねて」しまう状態です。左足で床を強く踏み切れていないことが原因で、その結果、左足の引きつけが遅くなり、身体の出も悪くなります。

 また、撞木足は、右足は前を向いているのに、左足のつま先が外側(左側)に開いてしまう状態で、こちらも床を強く踏み切ることができず、左足が後方に流れます。

 床を強く踏み切るには、正しい足構えをつくることが第一ですが、とくに跳ね足になってしまう原因は、〝蹴る〟という感覚が強すぎることにあると考えています。

 相手を打突する際、踏み込み足を用いますが、この使い方は送り足の応用です。送り足は、左足に体重を乗せて右足を出して前進します。現象面では右足が先に動いていますが、腰始動で動き出す感覚が大切です。踏み込み足は、左足にしっかりと体重を乗せ、前方に身体を勢いよく押し出すように移動させ、体重を移行させた右足で踏み込むことで、力強い打ちを発することができます。

立合は崩し合い
構えが崩れると打てない

 剣道は基本稽古で身につけたものを、応用である地稽古や試合で遺憾なく発揮できることが大切です。しかしながら、相手も同じことを考えているので、それがいかに困難であるかは周知の通りです。

 立合では、構えを極力崩さずに、攻めることが重要です。その過程で、「技の起こり」や「技のつきたところ」「居ついたところ」などの打突の好機で適切な技を選択することができれば有効打突につながります。

 これらの機会をとらえるには、左足をいつでも打てる状態にしておくことが必要不可欠ですが、左足の踵が床についてしまうと、居ついてしまうことが多くなり、打突の機会を与えてしまうことにつながります。

 打ちたい気持ちが強くなると、上半身に力が入り、足幅が広くなり、左腰が開き、右肩が前に出やすくなります。この状態で技を出しても、有効打突の要件を満たした打突を発するのは難しくなります。極限の状況でも左手・左腰・左足を中心とする左半身が安定した構えを崩さずに、相手と対峙できれば圧力がかかります。この状態を攻防の中でなるべく多くすることが、地稽古など応用動作での課題になるかと思います。

平素から足さばきの稽古を励行すること

 正しい足さばきを身につけるには、平素から足さばきの稽古を励行することが何よりも大事です。「なんだそんなことか」と思うかもしれませんが、剣道の稽古は単純なことの繰り返しです。一人でできますので、全体稽古前後の空き時間を利用しても行なえます。

 剣道でもっとも多用されるのは送り足です。送り足は前後左右斜めの8方向ありますので、腰始動でしっかりと足を運べるようにすることが大切です。

 さらに充分な時間を割きたいのが踏み込み足です。踏み込み足は、左足に体重を乗せて力強く踏み切ります。前述したように〝蹴る〟という気持ちが強いと跳ねてしまうので、前方に押し出す感覚で腰から始動する打ち方を身につけます。 踏み込み足の稽古は、空間打突を繰り返すことで十分可能です。足首から下だけで踏み切るのではなく、体幹から股関節を意識して、下半身全体を使って踏み切るような感覚です。遠くに飛ぼうとすると姿勢が崩れますので、一足一刀の間合から正確に打ち切る練習を繰り返すことが大切です。

足幅は極力維持。
胸を開いて腰を立てて構える

 前述したように立合では構えを極力崩さないことが大切であり、構えは腰を立てるような気持ちで相手と対峙すると、力みが抜けると考えています。左足に重心を乗せ、腰を入れすぎると、上半身がのけ反ってしまいます。このような状態からは当然、臨機応変に技は出せませんので注意が必要です。

 足幅については一般的に加齢とともに狭くなります。私自身も年齢を重ね、八段をいただいた代の頃の構えより足幅は狭くなっています。前後の足幅は右足の踵の線に沿って左足のつま先を置くことが基準ですが、年齢や体力に応じて若干変わりますので、自分に適した足幅を身につけることが大切です。

 構えについて私自身が心がけていることがもう一つあります。それは「足の内側(親指側)を締める」ということです。特に左足の親指の付け根部分で床を踏むようにすると、左腰が開きにくくなります。左半身に安定感が加わり、左手が決まりその分、剣先にも力が加わると考えています。

 昇段審査において審査員には、構えの充実度が即座に伝わります。左足(脚)や左手の緩みはとくに目立つので注意が必要です。

物打ちに最大限の力を集約させて打つには足を整える



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