※この連載は『剣道は乗って勝つ』から抜粋したものです
打突の機会を探すことがため
積極的な攻めにつながるためが重要
岩立三郎(いわたて・さぶろう)/昭和14年千葉県生まれ。千葉県成田高校を卒業後、千葉県警察に奉職する。剣道特練員を退いた後は、関東管区警察学校教官、千葉県警察剣道師範などを歴任。昭和53年から剣道場「松風館」にて剣道指導をはじめ、現在も岩立範士の指導を請うべく、日本はもとより海外からも多数の剣士が集まっている。現在、松風館道場館長、尚美学園大学剣道部師範、全日本剣道連盟審議員、全日本剣道道場連盟副会長、全日本高齢剣友会会長。剣道範士八段。
下腹に力を入れて構える
臨機応変の構えがためをつくる
「あなたの技にはためがない」「ためがない技は一本になりにくい」「仕事も剣道もためが必要だ」など、剣道では「ため」を重視しているのは周知の通りです。「ため」は難解な言葉で、なかなか一言で表現できるものではありませんが、『剣道和英辞典』には「相手の攻めに対応する場合、あるいは技を出す場合、緊張の中にもゆとりを持たせ、心身を充実させた状態」とあります。
この状態をつくることができれば、相手をよく観察することができます。とくに六段、七段、さらに八段と高段位をめざすのであれば、相手を攻めて崩して打つという手順を踏んだ技を発しなければ評価されません。そのような技を出すには、相手の意図を読み取らなければなりません。
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