剣道の技

王者は面をどう打つか:佐藤博光

2019年12月9日

※この記事は『剣道時代 2012年2月号』に掲載されたものです。

「相手が入ってきたところを打つのが剣道だ」

 最初に剣道の手ほどきを受けた延岡修道館の甲斐富嘉先生は我々にいつも言っていました。剣道は相手と対峙し、攻め合いのなかで隙をとらえるものですが、隙の中でも相手が動こうとした瞬間を打てるように日々稽古しています。剣道には「構えの隙、動作の隙、心の隙」と三つの隙がありますが、動作の隙はどんな強豪選手でも生じるものです。この一瞬の隙を攻め合いのなかで瞬時にとらえられるように心がけています。

 わたしの場合、試合で技がきまるときは面技がほとんどです。とくに出ばな技が多いですが、背が高いということもあり、自然と出ばな面を中心とする面技が自分の得意技になりました。現在は攻めて崩して、姿勢を崩さずに打つことを心がけています。

佐藤博光 (さとう・ひろみつ)教士七段
昭和48年宮崎県生まれ。高千穂高から大阪体育大に進み、卒業後、大阪府警察に奉職。世界選手権大会個人・団体優勝、全日本選手権3位、全国警察官大会個人・団体優勝、国体優勝など。現在、大阪府警察第一機動隊小隊長。

右足で誘い、左足に溜めをつくりながら崩す

どの技を出すときでもそうですが、攻めが効いていないと成功しないのは周知の通りです。無闇に打っても小手を拾われたりするだけなので、近年はとくに打突にいたるまでの過程を大事にするようにしています。

 攻める際、わたしは右足を出すことで相手の様子を見るようにしています。「いくぞ」という気持ちで右足を出したとき、攻めが通じると相手は「下がる」「手元を上げる」「打とうとする」などの反応を示します。もちろん簡単には反応しませんのでなるべく小さく緻密に行なうようにして剣先で中心を取ります。



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