2018.6 KENDOJIDAI
百戦錬磨の有馬光男範士は、厳しい特練の世界を生き抜くために、素振りを日課としていた。「剣道の打突はひとつ(一拍子)で打つことが大切です」と強調する有馬範士が実践してきた素振りを紹介する。
プロフィール
有馬光男範士(ありま・みつお)/昭和18年、岡山県生まれ。西大寺高校から大阪府警察に奉職。全日本選手権大会2位・3位3回。全国警察官大会団体優勝9回・個人優勝、明治村剣道大会優勝2回、全日本東西対抗出場。現在、大阪府警察剣道名誉師範、トールエクスプレス株式会社剣道師範。剣道範士八段。
剣道をする者であればだれもが素振りをしたことがあり、その重要性については認識しているところだと思います。素振りは相手がいなくても、空き時間を利用してできるものですが、実際に取り組むとなると、なかなか時間を取ることができないのが現状ではないでしょうか。
さらに素振りは現在、準備運動的な位置づけで行なわれがちですが、本来、そのようなものではなく、重要な稽古の一種です。
素振りは、竹刀操作の原則的な内容を体得するためのもので、とくに初歩的な段階では不可欠なものであり、錬度が上がっても欠かさず行なうことが重要です。
素振りには「竹刀と身体の一体的な遣い方を体得する」「打突につながる太刀筋を覚える」「打突の手の内を覚える」「手足を一致させる」などの目的があります。これらの目的に加え、素振りには技の冴えを養うためのものと、私は認識して実践してきました。冴えを意識した振り方があると考えています。
まずは先の気位をもって真剣に振ることが大切です。素振りは面だけでなく、小手・胴も行なったほうがよいでしょう。わたしは面・小手・胴、三本連続で行なう素振りも実践しています。
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