稽古方法 自宅稽古

動作分析で差をつける(吉成正大)

2022年9月19日

2021.4 KENDOJIDAI

 新型コロナ渦において、剣道界にも大きな変革が起きた。その中の一つは多数の剣道ユーチューバーが出現したこと。しかし、たいへん素晴らしいコンテンツを配信しているものもあれば、解説や分析が稚拙であったり技の名称や分類に間違いがあったり、竹刀の扱いや礼法、所作がぞんざいであったりと玉石混交。必ずしも信頼できないものも少なくない。とはいえ、色々な映像サンプルを居ながらにして見ることができるようになったことは、プラスに考えたいものだ。今回はそれら映像を効果的に活用する術を考えてみたい。

活用術1 同格の映像から学ぶ

YouTubeなどのネット上にある動画を見取り稽古として使う場合、一番のポイントは自分と同年齢、同段位くらいの人のものが最適だ。もちろん一流剣士の動画を見るのも悪くない。しかしこと「学び」という点から行くと、一流選手の動画はハイレベルすぎるのだ。

 第一に技術力が違いすぎる。一本一本の打突のスピード、正確さ、力強さが桁外れなのだ。また機会の捉え方にしても、その打突に至るまでの布石や攻め、技前の作り方に至るまで、素人同士の立合とは次元の違うことを行なっている。

トップクラスの選手が技の解説をしている動画などを見て「真似してやってみよう」と思っても、容易にできるものではない。その選手がその技を全国レベルの大会で有効打突にできるまで昇華させるには、何千本にも及ぶ稽古の蓄積があることを知らなければならない。

 また、自分に近い年齢の動画を選ぶ理由は残念ながら、競技的身体能力は加齢とともに低下するからだ。同じ四段であっても20代と40代ではかなりの差が見受けられる。間合、攻め、打突、機会の捉え方など、同段位でありながらも違いがあることは理解できるだろう。それゆえ、できるだけ同年齢で同じような身長体格、剣風の人の映像を選ぶことがポイントとなるのだ。

 さらには、試合映像よりも審査映像、それ以上に参考になるのは地稽古をしている時の映像。ベストは基本稽古をしている時の映像だろう。

 試合の映像は「勝つこと」「当てること」に執着するあまり姿勢が崩れたり、「打たれまい」として避けが先攻したりということが少なくない。その点審査映像は互いに「短時間で正しい一本を目指す」という気持でぶつかるため、試合映像よりも崩れが少ない。

 しかし、審査映像はそこを目指すがゆえ「よそ行きの剣道」になっていることが少なくない。また互いに面ばかりを打っているような単調な立合になってしまっていることもあるので気を付けたい。

 その点、地稽古をそのまま記録した動画は、構え、掛け声、間合、攻め、さばき、打突、機会、残心など比較的その人の素が現れていると言っていいだろう。切り返し打ち込み、技の稽古などの動画も同様である。丹念に探すとこうした動画を見ることのできるチャンネルに辿りつけるもの。中には有料チャンネルもあるが、ぜひとも学びのためにチャンネル登録しておきたいものだ。

活用術2  ここが見るべきポイント



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