インタビュー

情熱の人が刻んだ53年の軌跡(一岡正紀)

2022年12月26日

2022.12 KENDOJIDAI

少年剣道に情熱を注いで半世紀。
一岡正紀教士が監督をつとめる白川台少年剣修会が、創立53年目で全国道場少年大会小学生の部初優勝を飾った。
兵庫県警察の剣道特練員だった一岡教士が「剣道を広める」「基本に徹する」「稽古は嘘をつかない」を信条に、情熱を注いだその軌跡をたどる。

一岡正紀

いちおか・まさき/昭和15年大分県国東市生まれ。大分県立国東安岐高校(のち安岐高校。現在廃校)で竹刀を握り、インターハイ団体ベスト8、玉竜旗2位の実績を残す。卒業後、兵庫県警察に奉職。在職中の昭和46年に白川台少年剣修会を設立。監督として全国道場少年大会優勝2位各1回、全日本少年少女武道大会優秀賞13回受賞。同会として全日本剣道連盟少年剣道教育奨励賞2回など。現在、全日本剣道道場連盟参与、兵庫県剣道道場連盟顧問。剣道教士七段

相手を攻めて面を打つ
こだわって頂点に立つ

 兵庫県神戸市を中心に活動している白川台少年剣修会は、今年7月の全国道場少年大会小学生の部で初優勝を果たした。当時30歳を過ぎたばかりの一岡正紀教士が、「剣道を広める人に徹する」という決意を持って取り組んで53年目の快挙だった。

2022年全国道場少年大会にて

「少年剣道仲間から冗談めかして、私の剣道は『昭和の剣道』と言われることがあるんですよ。というのは、試合を見ていただければわかるのですが、一足一刀の間合から攻めてドン、と打つことを中心に指導しているからです。近間から小手先の技を出すのは特に戒めています」

 試合当日は、一岡教士が指導する「攻めて中心を割って面を打つスタイル」が全面にあらわれた戦いぶりだった。とくに久枝剣道会との準々決勝では、両者一歩もひかず代表者戦までもつれ込む熱戦となったが、最後に高橋選手が決めた面は、まさに白川台で学んだ稽古の成果があらわれた一本だった。

 新型コロナウイルスが流行し始めてから、元々稽古場として借りていた地元警察の道場が借りられなくなった。一岡教士は子ども・父兄と一致団結。手持ちの畑をならして運動ができるようにし、青空道場をつくった。また、父兄たちが四方八方手を尽くし、借りられる公共施設を探してきたという。

「私の高校時代の恩師・若松武彦先生(のち範士)は『稽古は嘘をつかない』とよくおっしゃっていました。稽古は毎日続ければ、必ずその成果があらわれます。子どもたちと、父兄の熱意もあって、剣道を続けることができました。そういうのも大きかったんじゃないかなあ、と思います」

 稽古の拠点が変わったため、会員が集まりづらくなった。現在、3~5年生がゼロ。しかし、最近になって低学年の子どもたちが入会し始めている。

「子どもたちは宝です。預かる限りは、責任もって、師匠から教えていただいた剣道を伝えていきたいと念じています」「剣道を広める人になる」という一岡教士の情熱は、いつまでも途切れることはない。

「遠く、強く」踏み込む力が攻めの圧力につながる



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