KENDOJIDAI 2024.3
写真=笹井タカマサ
2023年の剣道界を彩った3人の若手剣道家たち。第一線を走る彼らは何故強いのか。一流の一流たる由縁にせまる。
星子啓太
課題と手ごたえを感じた2023年
警察剣道の世界に飛び込んだ一昨年度(2022)は全国警察大会で全勝賞とともに一部優勝に貢献、全日本選手権ではまさかの緒戦敗退とさまざまな出来事があった。「学ぶことが多かった」という2022年を経て、2023年はどのような1年だったかを振り返ってもらった。
「他の大会もそうですが、とくにコンバットゲームズ、全国警察大会(団体戦)、全日本選手権。その3大会全てで優勝したいというのが一番(の目標)でした。そのことを踏まえて1年を過ごしていました」
コンバットゲームズとは、オリンピック関連団体である国際競技連盟連合(GAISF)主催の総合競技大会。サウジアラビアで行なわれる同大会が10月31日に予定されていたため、10月24日開催の全国警察大会、11月3日の全日本選手権と大変短いスパンで行なわれるこれらの大会すべてで好成績を収めるのは大変なことだとわかっていた。
「モチベーションにおいては、自然と気持ちが大会に向かうと思いましたので、11月の全日本選手権が終わるまで気持ちは切れないだろう、と。ただ、日程的にはかなり短いスパンで体力的に心配だったので、そこは考えました」
9月には全日本選手権予選、その後には国体なども予定されていた。沢山の試合が続く中で、どのような調整が必要かを考えていた。
「まずは8月までに完全な状態でいけるようにしようと。そこまで不安要素を持つこともなく、9月の全日本選手権予選を迎えることができました」
初めての東京都予選を2位通過し、全日本選手権出場権を獲得。10月10日の国体においても、決勝進出の立役者となった。
「国体の決勝戦で負けていたことが、自分にとっては良い経験だと思っています。年間を通して、負けた時は勝負にいき過ぎていると感じました。それを国体で認識し、『安易に前で勝負するのは辞めよう』と。全国警察大会では試合時間が8分間あります(試合時間5分・延長3分)が、それを踏まえて試合展開を考えていました」
全国警察大会では2年連続の全勝賞でチームの連覇に貢献した。主に次鋒での起用だったが、星子選手が勝利することでチームが試合の流れに乗っていた。
連覇・全勝という最高の結果を出したその2日後、サウジアラビアへ飛びコンバットゲームズに参加。日本人選手は松﨑賢士郎選手(筑波大大学院)と2人で、ともに決勝進出を果たした。「日本チームとしては2人が決勝に上がりましたので当初の目標を達成することができました。ただ、個人的には悔しいですね(2位)。試合の展開自体も悪くなかったので、何故この結果なのかと思うところもありました」
試合後、ただちに日本へ戻り全日本選手権へ出場。満足な稽古もままならないほどの日程を過ごす中、ある種の手ごたえもあった。
「2022年の全日本選手権では自分を出し切れなかったと思います。2023年は警察内の大会や予選などで少しずつですが勝てるようになった実感があって、自信につながっていたかもしれません。また、試合が続いていたので、気持ちが途切れなかったためか、迷いなく試合に入れたと思います」
疲れがたまりやすい時期だが、緒戦から、ここだと思う場面で体が素直に反応した時、「(体の調子について)悪くない」と感じたという。3回戦では警察大会でも対戦した小角選手に勝利するなど、大きな試合を乗り越えていく。
準決勝では松﨑選手と対戦。今回打たれた場面については、とくに一本目の面について課題があると感じているようだ。
「『勝負を急いでいたかな』と思います。そういった場面は以前も何回もあり、振り返ると『また同じこと』を繰り返しているな、と。おそらく、自分では攻めているつもりでも、『攻めではなかった』のだと思います。前に出ているだけだったのでしょう。相手が『攻められた』と感じるものが『攻め』なので。それと、間合がつかめていなかったのかなと」
「まだまだ足りない部分がある」と語る星子選手。思うところは色々ある。
「課題がありすぎて、ひとくちに『これだ』とは言い切れませんが、共通しているのは左足の遣い方です。間合、攻めなど、もっと理解が深まれば、多くの課題を解決できるのではないかと感じています」
警視庁の稽古が
自分のプラスになっている
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