稽古方法 素振り

この木刀と竹刀で三日坊主を卒業する

2020年4月24日

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2018.6 KENDOJIDAI

多くの剣道愛好家は、稽古の始まりに素振りを行なっている。しかしその目的のほとんどが準備体操がわり。これはもったいなすぎる。

素振りのいい点は、たった一人でも行うことができることだ。さらに多くの時間を必要とせず、道場に行く必要もない。
自宅でも手軽に行うことのできる一人稽古として、素振りを活用しない手はない。

「一刀は万刀に化し、万刀は一刀に帰す」とは「切落し」を極意とする小野派一刀流の教えであるが、正しい竹刀操作の習得はまずしっかりとした振り方を学ぶところから始まる。

刃筋を意識し、一本一本を正しい動作で振ることで、自在に竹刀を扱うことができるようになるものだ。しかし、素振りは単調になりやすく継続することが難しい。

そこで目的を明確にし、振り方を工夫し竹刀や木刀を使い分けて変化をつけることで、忙しい現代人でも容易に継続することができるはずだ。ここでは8種類の木刀・竹刀を紹介し、それぞれの振り方と効果を考察したい。

赤樫木刀

剣道形で使われる一般的な木刀。通常使用する竹刀よりも短く軽量である。意識すべきことは【正しい握りの習得】と【剣先の走り】の二点である。

竹刀

通常稽古で使う竹刀よりもやや重めのものが素振りには適している。バランスは通常使用のものと同じものを選ぶ。これを振るときに意識することは【一拍子の振り】である。スーッと振り上げパッと打つ。ここまでをよどみなく振る。面のみではなく小手や胴の素振りも行いたい。

元立ち竹刀

通常使用するものとほぼ同じ重さで長さが短いこの竹刀は、「応じの素振り」に適している。面返し胴、面返し面、面摺り上げ面(表裏)、小手摺り上げ面、小手返し面などを振り込むことによって【腕の使い方】と【手首の切返し方】を習得する。

竹刀型素振り木刀

通常使用の竹刀と同じ長さだが重さが800グラムとかなり重い。これは【軸意識の確認】と【肩甲骨の使い方】をイメージした「三点素振り」に適している。肩ではなく肩甲骨を支点として大きく振りかぶり、「正面、左面、右面」をワンセットとしてゆっくりと振る。振りかぶりと打突時に体軸に崩れがないことを確認すべし。

素振り用木刀

赤樫だが刀身が太くなっている重さ600グラムほどの木刀。これは【軸意識の確認】と【腰部と下腿の連携】を意識したい。振り方は上下素振りもしくは斜め素振りがいい。大きくゆっくりと前進後退しながら肩甲骨と広背筋を使いゆったりゆっくり振る。木刀に振られてしまわないように丹田にしっかり気を溜めることが肝要。

桐の木刀

重さ200グラムの極めて軽いこの木刀は、赤樫と同様、竹刀よりも短い。「力が入りすぎですよ」と指摘されている方にこそ、この木刀での素振りをお勧めしたい。スッと振り下ろした時に左右の手の内や刃筋が悪いと、この木刀の剣先はピタリと安定しない。【手の内のバランス】の習得に効果絶大である。

フリセン

この竹刀のいい点は、室内で手軽に振れることだ。椅子に座ったまま正面や左右面などを振り込むといい。

また同じく椅子に座った状態で小さな面の素振りを行う。これにより【崩れない背中の使い方】を習得しよう。

手首トレーニング

中段に構えた位置に持って、内転そして外転させつつ面を打つ素振りがいいだろう。必ず左右の手両方で行う。上段選手は左片手で上段に執った位置からの振り下ろしに使用する。

肩を使わず肩甲骨から力を発し肘から手首へと力を伝えてく。【手首の強靭さ】を目的としているが、腱鞘炎の恐れがあるので過度な素振りは厳禁。

文章=吉成正大
協力=共栄武道具

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