2019.5 KENDOJIDAI
構えは剣道の基本、正しい構えが攻防自在な体の運用と気剣体一致の完全な打突を実現する。だが、気がついているか。あなたの構えには修正すべき重大な問題があることを。見える構え(身構え)と見えない構え(心構え)、構えは永遠のテーマだ。
「結果が出たときの試合後は、必ず腹筋に強い張りが出るんです」と語る小関太郎教士。この痛みは丹田に力を込めることからくるものだと言う。丹田を意識して、なるべく自然体で構えることが攻防一致の実践につながるという小関教士に、自身の取り組みと心がけているポイントを聞いた。
小関太郎教士七段
こせき・たろう/昭和51年千葉県生まれ。市立習志野高校から東海大学へ進学し、卒業後、警視庁に奉職する。主な戦績として、全日本選手権大会3位、全国警察大会団体優勝、国体優勝、全日本選抜七段選手権大会出場、全日本都道府県対抗大会出場などがある。現在は警視庁剣道教師として後進の指導にあたる
腹筋が痛くなるほど
丹田に力を込めておく
私は現在、警視庁の剣道教師として後進を指導する立場にあります。構えは剣道の根本となる部分だと思いますから、自分が良き見本となれるよう、つねに見られている意識をもって日々の稽古に取り組むようにしています。
構えには、身体で表現する「身構え」と、精神的な面での「気構え」や「心構え」があると言われます。当然、それぞれにおいて意識すべきポイントはありますが、私が全体を通して一番大事にしているのは「丹田に力を込める」ことです。
剣道で言う「丹田」とはヘソの少し下のあたり、いわゆる「臍下丹田」です。
私はここに力を込めることで、自然と上半身の力が抜けて〝上虚下実〟の構えが実践できる感覚があります。結果が出た試合の後は、必ずと言ってよいほど腹筋に強い張りが出ます。これは、丹田に力を込めた構えで戦うことができた証だと感じています。反対に、一日を通してあまりうまくいかなかったときは、そういった痛みもありません。たぶん構えも崩れてしまう場面が多いのだと思います。
この「丹田に力を込める」という意識は、構えているときだけに限りません。攻め合いのときも、相手の技をさばくときも、つねに意識をもっておくことで正しい構えを維持することができ、すぐさま技へとつなげることができると考えています。
「身構え」は理に適った自然体の構えを求める
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