2023.3 KENDOJIDAI
撮影=笹井タカマサ
星子啓太
ほしこ・けいた/平成10年鹿児島県生まれ。九州学院高から筑波大に進む。昨年2月より警視庁に奉職。全日本選手権優勝・3位、世界大会団体優勝、全国警察大会団体1部優勝・個人優勝など。剣道四段
「勝ちにいく」気持ちの大切さを知ったあの敗戦
2022年、星子啓太選手にとって社会人1年目となったこのシーズン。自身にとっては激動の1年と感じたかもしれない。それほど多くの出来事があった。
「社会人になって環境が変わり、また、警察学校に入校しながら試合にも出させていただきました。環境になれるまで大変でしたが、実際に入校中には様々な方にサポートをいただいて剣道と両立させることができ、充実した1年を過ごすことができました」
剣道に割ける時間は前年より減ったが、考え方を切り替え、柔軟に対応することができたようだ。「だからこそ、1回の稽古に対してより集中して取り組もうと思いましたし、余暇を使って剣道のことを考える時間が増えました。それは、今振り返ると自分にとってプラスになったと思います」
新しい環境に対応しながら各種大会に臨んだ。全国警察大会(団体)では全勝賞で優勝に貢献、全国警察選手権(個人)では初出場初優勝と負けなし。さすがとしか言いようがない。しかし、自身にとってはその2大会の快挙よりも、連覇が期待された全日本選手権の敗戦が深く心に残っている。
「たしかに、警察の大会は大きな目標でありましたし、優勝できたことは大変光栄でした。しかし全日本選手権での1回戦負けが帳消しになることはないので、やはり悔しい1年だったな、と」
少年時代からさまざまな全国大会で活躍してきた星子選手だが、緒戦で負けたことはこれまで中学生の時に1回しかない(しかも判定負けだった)。
「緒戦で一本を取られて敗退したのは初めてだったと思います。ただ、緒戦敗退が悔しいのではなく、これまでやってきた成果をどのようなかたちで出せたのか、ということが私にとって重要だったので、そこに一番心残りがあります」
勝つことが目標だったはずの全日本選手権で「(優勝者だから)うまくみせよう、綺麗にみせよう」といった感情が強くなってしまい、その結果、実力を十分に出すことができなかったのでは、と振り返る。
「それが一番心残りです。試合前までに、やるべきことはやれたと思っています。正直、今振り返っても(事前に)他にできたかもしれない取り組みがあったのかはわかりません。また時間が経ったらわかってくることも出てくるかもしれませんが……」
やはりそれだけ連覇は難しいということなのだろうか。
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