構え

活きた構え(大城戸知)

2024年8月26日

2024.8 KENDOJIDAI

撮影=西口邦彦

「相手と対峙した際は威圧感を与えること、自分にとって良い『構え』が攻めとして相手に伝わっているかどうか、を稽古の中で意識しています」と言う大城戸教士。特練員を退いたあとは、とくに技を発するまで緻密に攻めることに取り組んでいる。堅固な構えから攻めて崩して打突につなげるまでのプロセスを語ってもらった。

大城戸知 教士七段

おおきど・さとる/昭和59年愛媛県生まれ。新田高校から鹿屋体育大学に進学し、卒業後は大阪府警察に奉職する。全日本選手権出場、世界選手権団体優勝(第17回大会主将)・個人出場、全国警察官大会団体・個人優勝など。現在は大阪府警察生野警察署剣道上席教師。

 構えの重要性をわかりはじめたのが新田高校時代でした。監督の渡部憲雄先生から剣先が低すぎたため、ご指導いただき、相手の胸元あたりに向けるようになりました。

 大学は鹿屋体育大学を選び、より攻撃的な剣道を学びました。鹿体大の剣風は仕かけが速く、機会と感じたら淀みなく打ち込んでいくことが求められました。手元を少し前に出し、いつでも打てる体勢をつくることを意識するようになりました。

 ただ、私の剣風は若い頃からあまり変わっておらず、よく「先に行け」「もっと攻めろ」という助言をいただいてきました。特練員時代、その助言を実行しましたが、自分の剣道には合っていないのか、結果を残せない時期が続きました。

 世界大会には27歳のときの第15回大会に出させていただき、連続出場をめざしたのですが、それは叶いませんでした。しかし、「日本代表にもう一度」という想いもあり、韓国開催の第17回大会には出場させていただきました。この6年間が特に「構え」から「攻め」の連動を意識する期間となったことを今でも鮮明に覚えています。

スピードやパワーは剣道において大事な要素ではありますが、攻めて崩して打つという手順を大事にして〝技前〟をとくに意識するようになりました。相手と構え合った際、相手が「何か」を感じる局面があります。当然、攻め合いなので、私も「何か」を感じる局面がありますが、その割合を増やすことが攻めにつながると考えています。

 蹲踞から立ち上がり、気持ちを充実させて相手と対峙します。触刃の間合まで詰まったのちは、自分の気配を消すことを意識して、打ちたいと逸る気持ちを我慢し、相手の打ち出しを誘います。待っていても反応が遅れますので、合気になって動こうとした瞬間に技を出すように心がけています。

相手の構えに応じて剣先の位置を変える



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