2024.12 KENDOJIDAI
取材＝柳田直子
令和６年６月の長野県剣道連盟定時理事会・評議員会により二木むつみ教士七段が同連盟会長に就任することが決定した。都道府県剣道連盟で初の女性会長となった二木会長。郷里でもある長野県剣道に対する思いを含めて、現在の胸中を伺った。
二木むつみ
ふたつぎ・むつみ／昭和31年長野県大町市生まれ。長野県大町高（現大町岳陽高）から筑波大に進み、卒業後中学校教員となる。養護学校、高等学校勤務などを経て、現在、令和６年６月より長野県剣道連盟会長。競技実績として全日本女子選手権出場２回、全国教職員大会女子個人優勝、国体、全国家庭婦人大会、全国都道府県対抗女子大会出場、レディース大会３位など。旧姓倉科。剣道教士七段
手探りの会長就任
一丸となって活動したい
令和6年6月23日、長野県剣道連盟定時理事会・評議員会が開かれ、二木むつみ同連盟副会長の会長就任が決定した。全国の都道府県剣道連盟が発足以来、女性が会長に就任したのは初めてのことだ。
「『一人目』というのは注目をされるもので、身の引き締まる思いですが後に続く方が増えることを思い、就任をお引き受けすることに決めました。以前は副会長を務めておりましたが、まさか会長というお話をいただくとは思っておりませんでしたので、さすがに緊張しました」
打診を受けた際はまさに「青天の霹靂」の言葉通り、驚きでいっぱいだったという。
「県連内で女子部をつくる予定で動いているところでした。（会長の打診は）驚くばかりでしたが、皆さんから『支えるから大丈夫』という温かいお言葉をいただきました。県連の事情や今後の女性剣道のことを考え、男性の先生方からも『是非』と言っていただきました。『皆で一丸となってやっていきましょう』という温かい雰囲気の中で活動しています」「皆で一丸となって取り組む」ことを旨に、県連で一致団結。新体制が発足した。「現在、長野県剣道連盟には11部門の各種委員会・部会があります（普及委員会、審査委員会、審判委員会、強化委員会、女子委員会、倫理委員会、医科学委員会、総務委員会、国スポ準備委員会、居合道部、杖道部がある）。今年から各部に委員長に加え副委員長も設けられました。組織の基盤をかため、会員のための企画を実践したいと、皆で取り組んでいるところです」
初の女性県連会長ならではの手腕・采配にも期待がかかるところだ。
「女性剣士は、パワーのある男性剣士と一緒に厳しい稽古をしている方が多いと思います。頑張っている女性を応援したいですし、また、女性の剣道家は少年剣道とも関わりをもつ方が多いですので、取り組み方次第で少年剣士の数も増えてきます。皆で支え合いながら、女性の剣道を盛り上げたいと考えています。今年から女子部をつくったのもその一環です」「現在の剣道人口を減らさないまま、新しく剣道に興味をもつ人々も大切にしたい」と、今後の県連への思いを語った二木会長。
「手さぐりの状況ではありますが、長野の皆さんとともに歩んでまいります」
円滑な協力体制を
大事にしていきたい
長野県の県域は東西約１２８キロ、南北約２２０キロと大きく広がっており、剣連には17の支部がある。この広域をカバーするためには、コミュニケーションをとる事が必須。長野県剣道連盟内では報告、相談、意思疎通を行ない、円滑な協力体制を整えているという。
「県連内では、大会・講習会などの要望や、新しい試みに対する報告などなるべくいただくようにしてもらっています。発足したばかりの女子委員会においても、新規事業の立ち上げに向けた検討を進めてきました」
女子委員会では、初の試みである「第１回長野県女子りんどう交流会」が９月日に開催された。女性が剣道を継続できる親睦・交流の場の機会をつくるために行なわれたものだ。
「りんどうは長野県の県花であり、『正義』『誠実』『勝利』といった花言葉があるそうです。長野県女子にぴったりと女子委員会の井出委員長を中心に『りんどう会』と名付けました。今後、交流会のみならず『りんどう』の名を冠したイベントを開催するべく計画しています」
東西南北に広い長野県では女性剣士同士の交流をもつ機会がなかなかない。県連が陣頭に立ってこれらの交流会を行なえば、自然と女性剣士同士の交流・親睦がすすむことだろう。女性剣士たちにとって嬉しい企画だ。
「今回第１回目の交流会は無事に終了させることができ、女子委員会も自信がつきました。交流・普及以外にも昇段や審判技術の向上に向けた事業を行なって行く予定です」
とくに４年後には地元国スポが控えている。地元開催の国スポの優勝に向けて、国スポ準備委員会を中心に、委員会の垣根を超えて一致団結し強化活動を行なっているところだという。
残りの記事は 剣道時代インターナショナル 有料会員の方のみご覧いただけます
No Comments