2025.12 KENDOJIDAI
写真=西口邦彦
構成=土屋智弘
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仕かけ技と一言で言っても、現象面の技だけに囚われず、その背後にある心の動きが肝心であると清野範士は説く。山梨健心館での少年少女剣士達への指導法と共に、本年範士の称号を得た自身の剣道について語っていただいた。
清野 忍範士八段

相手を居着かせる攻めとは
実戦的な仕かけ稽古
仕かけ技で一般的に考えられるのは、先をかけて攻め、打突に結びつけることです。しかし実際には相手を圧して、居着かせ、その隙を打突するというのは、難しいものだと感じています。
その前提に立ち、私が子ども達を指導する山梨健心館では、仕かけ技に限らず、技全般の稽古において、「元立ちが動かない状態をつくらせる」ことを心がけさせています。ここでいう「動かない」とは、棒立ちの元立ちをただ打つことではありません。どういうことかと申しますと、子ども達の実戦を想定した場合、間合が詰まった状態でも、相手に打ち気がないときにはスッと引いてしまうか、あるいはこちらがわずかに打ち気を見せただけで、左手を上げて先に避けにまわる子どもが大部分だと思います。大人であれば、剣先を制するなど、より洗練された攻防も展開されますが、小中学生の場合、突き技もないこともあって「左手を上げて避ける」という動きが主流になります。
そこで稽古のポイントとするのは、相手との攻め合いの中で「打ち間の範囲に相手の打突部位が残る状態=元立ち稽古に近い状態=動かない状態」をいかに作り出せるのか、ということになります。
具体的には、こちらが攻めて間合を詰めると、相手は「打たれる」と感じて、避けに回るか、引くか、あるいは面などの技に出てきます。相手が引いて避ければ、こちらの初太刀ではかわされ、二の太刀が必要になるしょう。しかし「打てる」と思って出てくるその出ばなや、左手を上げて避けにかかる、その斜面・手元の上がりには隙が生まれます。そこを捨て切って技を出せれば、一本を決められる可能性が高くなります。
つまり「相手が動けない=居着き」「相手が打突に出るはな」を生じさせるような攻めこそが必要であり、それが「虚」になりますので、その虚を打突の機会として感得できるようになることが、稽古において大切になると考えています。
間合は距離ではなく
相手と感じ合えるところ
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