剣道の技

最強八段の心技体(岩佐英範)

2025年10月20日

2025.10 KENDOJIDAI

構成=土屋智弘
写真=西口邦彦
*本記事に掲載された画像の無断転載・使用を固く禁じます。

寬仁親王杯での3度の優勝、全日本選抜八段優勝大会では本年3位と、八段戦において輝かしい戦績を収める岩佐教士。日頃から稽古で意識していること、試合へ臨む心構えなどをお聞きした。

岩佐英範

いわさ・ひでのり/昭和45年千葉県生まれ。市立船橋高校から東海大学に進み、卒業後警視庁に奉職する。全日本選手権優勝2位3位各1回、全国警察大会団体優勝、世界大会個人2位、寬仁親王杯八段選抜大会優勝3回、全日本選抜八段優勝大会3位など。現在、警視庁剣道師範。

剣先を中心に置き
崩れない剣道を志向

 平成29年から寬仁親王杯剣道八段選抜大会、昨年からは全日本選抜剣道八段優勝大会に出場させてもらっています。最初に親王杯へ出場した際に感じたことは、対戦する相手の構えが崩れないということです。八段位の先生方ですから当然と言えば当然なのですが、それまで経験した試合とは違い、一番印象に残った点でした。

 親王杯は47歳の時に初出場をさせていただき、優勝することができましたが、当時の剣道は若さの勢いで試合をした感触で、自身の中でたくさんの課題を抱いたものです。中でも崩れない相手に対してこちらはどう攻めていくべきか、ということに取り組んでいくきっかけとなりました。

 そして昨年の選抜八段戦が終わった後、一つの手応えを感じたことがありました。それは「中段に構えた剣先を常にそこに置く」という意識です。一見すると当たり前のようですが、剣先を相手に払われたり、抑えられたりすると、自然の心理として、力を入れて同じように返したくなるものです。しかし、返し過ぎたりすると、そこを上手の先生は狙ってきますので、一種の崩れと言えるものになります。そのように考えますと、「元の正しい中段の構えに戻すだけ」ということは、崩れていないことになりますので、逆に相手はそれを嫌がって、何かをしたくなり、自滅と言いますか、崩れが生じてくるのを狙います。このようなことを念頭に、何をされても中段の元の位置に戻すだけということを稽古で心掛けるようになりました。

 従来を振り返りますと、崩れない相手の構えをなんとかして崩したいと意識して、結果的に自分が崩れたところを打たれていました。機会を捉えて打突に出ようとする際に、どうしても相手に読まれてしまう、動作が遅れてしまうということがあったのです。そこで起こりを相手に悟られないために、どうすればよいかと思案した結果が今回の発見に繋がりました。まだ完成といえるレベルにはなっていないかも知れませんが、自分のスタイルには合うやり方だと感じています。

最短最速で打突部位を捉える



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