剣道の技 溜め

岩切公治:特集、溜め

2019年11月5日

※この記事は『剣道時代 2018年8月号』に掲載されたものです。

上質な剣道には溜めがある。溜めがなければ試合で旗が上がらない、審査でマルがつかない。
一本の成否は溜めの有無。溜めとはなにか、どうやってつくるのか。剣道における溜めの理論と実践を一流剣士が解説指導する。

強い攻めが「溜め」を生み
「溜め」が力強い一本をつくる

打突はおしなべて攻めながら行うことが重要で、その途中に「溜め」が生まれる。最初に先を掛けた攻め、圧力があり、相手の構えの崩れや動き出しまで我慢することが「溜め」となる。
「溜める」ことができれば剣道に深みが生まれる。無論、高段位の審査には必要不可欠なものだ。多くの剣道家や指導者を輩出している国際武道大学の岩切監督に、同大学での指導法も交え「溜め」についてお聞きした。

岩切公治(いわきり・きみはる)教士八段 /昭和 41年宮崎県生まれ。高千穂高校から国際武道大学に進み、卒業後、同大学の教員となる。全日本東西対抗大会、国体、全国教職員大会、全日本都道府県対抗などに出場。現在、国際武道大学教授、同校剣道部監督。

「溜め」を一言で表すのは難しいですが、構えが納まっており、一足一刀の間合で攻めながら、こちらの攻めが効き相手が動くところまで我慢することが「溜め」になると考えております。ですから自分で先を掛け、攻めることが必要不可欠です。構えの形ばかりがよくても、攻めの伴わない、待っている状態では「溜め」は生まれないと思います。あくまで先を掛け自分が攻め入るという我慢の部分が大事となります。審査や試合でも審査員や審判に見られるところは、こちらに先が掛かっているかということでしょう。
中心を制し、その勢いで打突をすれば有効打突になりやすく、審査も高評価を得られるやすいはずです。その過程にあるのが「溜め」になります。

先を掛けた攻めより「溜め」は生じ、「溜め」があることで冴えある力強い打突は生まれる

私が指導している本学剣道部の学生たちに「溜め」を説明する場合、一連のプロセスで教えています。つまり確固たる構えから、攻め足である右足を使い、剣先は中心を制しながら攻めつつ打ち間に入り、そこから打突をするという流れを意識させています。剣先が中心を制し、正しく向かってくると相手は圧力を感じるものです。相手の竹刀の上から乗るような、擦り込むような感じで行います。
その結果相手の構えが開けば面や小手に仕掛け、出ようとしてくれば出ばなを狙うことになります。その機会が訪れまで攻めて、打ち急ぐことなく、我慢するのが「溜め」につながります。

 具体的な注意点を述べましょう。



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