昇段審査との向き合い方 連載

昇段審査との向き合い方(亀井 徹)第四回

2021年12月6日

2021.10 KENDOJIDAI

試験に合格するには傾向と対策が必要不可欠。剣道の昇段審査にもそれが求められるが、亀井徹範士が市民剣士を対象にした講座を開講する。

亀井 徹

かめい・とおる/昭和29 年熊本県生まれ。九州学院高校から明治大学に進み、卒業後、熊本県警察に奉職する。熊本県警察首席師範を最後に退職。主な実績として全日本選手権大会2位、世界剣道選手権大会出場、全日本都道府県対抗大会出場、全日本東西対抗出場、全国警察大会一部優勝、国体優勝、全日本選抜八段優勝大会2位3位、剣豪「丸目蔵人」顕彰全日本選抜剣道七段選手権大会優勝2回、岩手県知事杯剣道七段大会優勝3回などがある。全日本剣道連盟強化担当常任理事。剣道範士八段。

1回の稽古を充実させるために小さな努力を積み重ねる

 昇段審査では相手より格上であることを示すことができれば好評価が得られることは周知の通りです。では、具体的にどのような内容が必要になるのかというと、圧倒的な打突力が重要なポイントとなると考えています。

 とくに六段以上の審査では打突の好機にしっかりと打ち切っていなければなりません。「有効打突は、充実した気勢、適正な姿勢をもって、竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し、残心あるものとする」と規則第条に記されていますが、常のこの条件を満たす一本を出せるように稽古を重ねることが大切です。 圧倒的な打突力を身につけるには、小さな努力を積み重ねることです。道場で稽古をすることだけが剣道の稽古ではないと考え、素振りや体力トレーニングなどをコツコツと続けることで剣道に対する意欲が上がるはずですし、稽古回数の少なさに対する負い目を感じなくなるはずです。例えば道場での稽古が週3回だったとしても、行けなかった日に素振りを実践していれば、毎日稽古をしていることになります。

 できないことを嘆くよりも、なにができるのかを考え、実践することができれば1回の稽古がより充実します。打ち込み、切り返しを続けることで打突力は向上しますが、その前提となるのは基礎体力です。加齢とともに基礎体力が落ちるのは自然の摂理ですが、素振りや体力トレーニングで合理的な竹刀操作に加え、基礎体力を強化することができれば、打ち込みや切り返しにも鋭さが増してくるはずです。

 素振りについては毎日励行できることが理想です。本数は少なくてもいいので、わたしが推奨する〝ブシュッ〟と空気を切る素振りを続けてください。無理な計画を立てると三日坊主で終わってしまいますので、毎日実行できることはなにかを考え、楽しく続けることが大切だと思います。

 体力トレーニングといえばランニングやダッシュを連想しがちですが、歩くことも立派なトレーニングです。わたしはトレーニングの専門家ではありませんが、1日8千歩、早歩きを意識して実施することが大切と聞いたことがあります。

 稽古を充実させるための準備をしっかりと考えましょう。

構えの確認。とくに気構えに注意して構えを充実させる



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