剣道の技 攻め

表を攻める、裏を攻める(鍋山隆弘)

2024年7月8日

2024.7 KENDOJIDAI

「相手が何かを感じて動いたときに攻めが効いたことになります。この状況をつくるには多様な攻め方が必要になります」と鍋山教士は強調する。多様な攻め方を身につけるには、剣先の働きと間合の入り方の工夫と研究が大切。その方法を鍋山教士が詳解する。

鍋山隆弘 教士八段

なべやま・たかひろ/昭和44年生まれ。福岡県出身。今宿少年剣道部で剣道をはじめPL学園高校から筑波大学へと進学。高校時代はインターハイ個人・団体優勝、大学時代は全日本学生優勝大会優勝など輝かしい戦績を残す。卒業後は、同大大学院を経て研究者の道へ。全日本剣道選手権大会10回出場、世界剣道選手権大会出場2回、国体優勝、全日本都道府県対抗優勝、全国教職員大会優勝など。現在、筑波大学体育系准教授、筑波大学剣道部男子監督。

 全日本剣道連盟発行『剣道講習会資料』の上級者に向けての「攻め・崩し」の指導上の留意点では、
「進退・離合の動作において常に機先を制して技をしかけることができるよう1歩、半歩の間合の駆け引きにも気を抜かないよう留意させる」
「進退の動作には充実した気勢を伴うことを自覚させ、止心を戒め泰然自若の進境を練り上げるよう工夫・研究させる」
「剣先の働きについて研究し、相手の両眼の中心または左目につけることを基本としつつ、機に応じて相手の竹刀を抑え、払い、張り、捲くなどして自由を奪って打突の機会をつくることを工夫・研究させる」

と記されています。

 とても重要なことであり、わたしはこの項目の「間合の駆け引き」「剣先の働き」について工夫・研究を重ねることが、今回のテーマである「表裏の攻め」を身につけることになると考えています。

 単に間合を詰めただけでは攻めたことにはなりません。間合を詰めたときに、相手が「面を打たれる」など、気持ちが動いたときに攻めたことになります。この気持ちの動きが手元を上げたり、あわてて出てきたりします。日頃の稽古では、この原則を頭に入れながら稽古をすることが大切です。

 互格稽古や指導稽古で、原則通りに相手が動くことはなかなかありません。しかし、意味なく技を出していても、時間を無駄にしてしまいます。

 わたしは鋭い面技が攻撃の基軸になると考えています。面は、四つの打突部位でもっとも遠い位置にあり、容易に打つことができません。その面があるから対戦相手は脅威となり、なんとか打たれまいとします。しかし、得意技ばかりを出していては脅威に感じなくなります。そこで重要な役割を果たすのが、「間合の駆け引き」と「剣先の働き」です。相手が面を意識して手元が浮けば、小手の機会です。一方、面は剣先が開いたとき、剣先が下がったときが機会ですので、小手を攻めるなどして、その状況を作らなければなりません。

 攻める際、重要になるのは、相手がどのような状態になってもらいたいのかを考えることです。攻めて相手の手元を崩したいのか、それとも誘って相手の技を引き出したいのか、その目的によって間合の取り方や竹刀操作を変えなければなりません。それを実現するには剣先の働きと間合に注意しながら緻密に攻め、技を出すときは捨て身の覚悟で大胆に打つことが必要になります。

四つの攻め方を覚える



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