構え

左足は剣道の根幹だ(小関太郎)

2024年10月21日

2024.10 KENDOJIDAI

本年5月、剣道八段に合格した小関教士。警視庁主力選手として活躍し、足運びに高い評価を受けていた。「いつでも淀みなく打てる足をつくることを意識しています」と強調する小関教士に日頃の心がけと指導法について伺った。

小関太郎 教士八段

こせき・たろう/昭和51年千葉県生まれ。習志野高校から東海大学に進み、卒業後、警視庁に奉職。全日本選手権大会3位、全国警察大会団体優勝3回、国体優勝、全日本東西対抗出場など。現在、警視庁剣道師範。

 剣道は「一眼二足三胆四力」と言われるように、相手を観察する眼の次に重要視しているのが足です。私は千葉県市原市の内田剣友会で剣道を始めたのですが、1年間は剣道具を着けずに足さばきの稽古を繰り返していました。その後、もっと上達したいと考え、茂原武道館に通うようになりましたが、ここでも基礎・基本を中心に稽古を続けていました。

 高校は習志野に進み、所正孝先生のご指導をいただくようになりました。所先生の指導は足さばきに充分時間を割き、後年にはラダーを使ったトレーニング法などが書籍や雑誌で紹介されるようになりましたが、足を鍛えることの大切さを、身体で学びました。

 一般的に「右足は攻め足、左足は打ち足」といわれていますが、私はいつでも打てる状態、いつでもさばける状態をつくるために右膝は柔らかく遣い、左膝はほどよく張った状態を意識するようにしています。この土台をつくったのが幼少期から高校までだと考えています。

 東海大学進学後は指導者養成の武道学科に在籍していましたので、足の重要性はもちろんのこと、基本に則った剣道を身につけることを4年間かけて学びました。大学は、自分で考えて取り組まないと、時間が過ぎ去ってしまいます。剣道はなにが大切かを考えるきっかけをつくったのが学生時代だと考えています。

 東海大学卒業後、警視庁に奉職し、剣道特練員となってからは、より足の重要性を意識するようになりました。私は体格に恵まれているわけではないので、左足で間合を図り、重心にしっかり身体を乗せて技を出さないと、有効打突の基準を満たす一本は打てないと覚悟して稽古を続けていました。

 剣道は攻めて崩して相手を打つことが重要ですが、それ以前に自分が崩れないことも重要と考えています。姿勢が崩れた状態で技を出しても有効打突にはなりにくく、相手に反撃される危険性も生じます。よって普段の稽古から充実した構えを維持し、自分が充分な状態で技を出せるように心がけています。その土台をつくるのが下半身であり、今回のテーマである左足の働きではないでしょうか。

湧泉で床を踏む
常に下腹に力を入れて構える



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