2016.8 KENDOJIDAI
撮影=笹井タカマサ
司会=山根洋平(剣道緑の風代表)
3人が指導する剣道部員の約8割は中学校から剣道を始めた。中学3年間での部活動は実質2年半だが、剣道経験者のライバルを倒し、地区大会を勝ち抜き、県大会へと導いている。寄り添う指導で生徒にやる気を与え、剣道を好きにさせていた。それぞれの取り組みとは?
(平成28年5月15日、川口市立芝西中学にて)
白井克奈
しらい・かつな/埼玉県入間市出身。埼玉県警察狭山警察少年剣道教室で剣道を始め、中学・高校時代、アメリカ・イリノイ州で過ごす。東京学芸大学卒業後、千葉県市原市の教員となる。現在、市原市立五井中学校教諭。剣道三段。
磯部摩耶子
いそべ・まやこ/群馬県高崎市出身。発心館堀越道場で竹刀を握り、高崎女子高校から埼玉大学に進み、埼玉大学時代に全日本女子学生剣道優勝大会で優勝。卒業後、群馬県教員となり、現在、富岡市立南中学校教諭。剣道四段。
山中寿美
やまなか・ことみ/青森県弘前市出身。秀峰館で竹刀を握り、左沢高校から埼玉大学に進む。インターハイ団体3位、全日本女子学生剣道優勝大会優勝。卒業後、埼玉県教員となり、現在、川口市立芝西中学校教諭。剣道四段。
山根洋平
やまね・ようへい/埼玉県北本市出身。解脱錬心館で竹刀を握る。埼玉栄高校卒業。剣道緑の風主宰。さいたま市立三室中学校剣道部外部指導者。
賞状は写真入りで掲示する
山根 芝西中にお邪魔していますが、山中先生はとてもきめ細かいですよね。生徒が大会で入賞すれば写真入りで飾ってあげるし、部員一人一人に目標を書かせて、それに対する具体的な取り組みまで公言させています。
山中 自分にとっては普通のことですが、たしかに掲示物などはこまめに新しくしたり、「これは」という言葉は掲示するようにしています。子供の成果や考え方などをなるべく見えるかたちにしたいからです。大会でもらった賞状もただ飾るのではなく、集合写真を入れてあげると生徒は喜ぶと思うのです。
磯部 わたしも同じです。賞状をもらった場合は、ラミネートにして掲示するようにしています。
山根 生徒への声かけもたくみですよね。いじり方もうまい。
磯部 子供と遊びます。のりのいい生徒がいるので、彼らと一緒に本気になって遊びます。稽古は苦しいですから休憩中は笑い合える関係を作ったほうが長続きすると思っています。辛い稽古ですけれど、笑える場面もあったほうが楽しいですよ。
山根 メリハリがうまいです。「あれ言い過ぎでは?」と思うくらい叱っている場面を見ますが、女性の指導者はしっかりとフォローをしています。だから信頼関係をつくるのがうまい。中学生は男女ともにフォローが必要な年代ですから、きめ細かく対応してあげないといけないと思っています。
白井 男子生徒と女性生徒で対応は変えます。男子はさっぱりしていますので、自分たちで解決させることもあります。
「こんな選択肢もあるよ」と提案して、生徒からのレスを待つこともあります。
山中 私自身が女性ということもあるかもしれませんが、喧嘩をしているとか、部内で浮いているなどはよくわかります。男子はある程度ほっといても大丈夫ですが、女子の喧嘩はどんどん入って解決するようにしています。そうしないとひきずります。
白井 これは持論なのですが、悩んでいる生徒の目元付近の肌はカサカサしています(笑)
山根 ホントですか?
白井 本当ですよ。今度よく観察してみてください。
山根 男性指導者は生徒の目を見て話すと高圧的になってしまうのでちょっと難しいかもしれませんが(笑)。それはともかく、女性の指導者は本当によく生徒を見ていると思います。生徒が「はい」と返事しても「本当にわかっている?」と聞き返していることがよくあります。指導者にとってとても大事なことだと思うのですが、なかなかできません。
磯部 男子生徒からすればしつこいと感じるようです。かまいすぎると離れていきます。
山中 教員で嫌われるのはヒステリーとしつこいこと、感情に任せてものを言うことです。女性の特徴ともいえますが、そのあたりは気をつけるようにしています。女子生徒はかまってもらうのは好きですが、さじ加減があります。
磯部 男子生徒にはずかずか入っていくことはせず、「次はがんばろう」くらいでよいのかもしれません。
心のシャッターをおろさせない
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