インタビュー

前人未到の3連覇(栄花直輝)

2025年9月1日

2025.8 KENDOJIDAI

撮影=笹井タカマサ、西口邦彦

栄花直輝

(えいが・なおき)/昭和42年北海道喜茂別町生まれ。東海大第四高校(現東海大札幌)から東海大学に進み、卒業後北海道警察に奉職。全日本選手権大会優勝、世界選手権大会団体優勝4回・個人優勝、全日本都道府県対抗大会優勝、全日本選抜七段選手権大会優勝2回(熊本)、全日本選抜剣道八段優勝大会は第17回大会で初出場初優勝、今回3連覇を果たし、前人未到の4回目の栄冠を手にした。現在、北海道警察本部警務部参事、北海道大学剣道部師範などを務める。剣道教士八段。

5回目の選抜八段優勝大会
栄花直輝のすべてを出し切る覚悟

 2025年4月20日、第23回全日本選抜剣道八段優勝大会で3年連続4回目の栄冠を手にした栄花直輝教士。3連覇は大会史上初の快挙、自身が持つ最多優勝記録を4回に更新した。「今回はもし出場の打診があれば5回目の出場です。最後の大会と心得ていました。『花は散り際、人は引き際が大事』という教えがありますが、昨年5月からの1年間、頭の片隅には常にそのことがありました」

 9月の全日本東西対抗大会、国スポと自身の剣道と向き合いながら稽古を続ける日々が続いた。本年2月に全日本剣道連盟から全日本選抜剣道八段優勝大会への出場依頼が書面で届いた。

「試合は出場するからには結果を残すという強い覚悟で臨まなければなりません。一方で八段戦は趣旨に『心技ともに円熟した剣道八段剣士名による試合を、広く剣道愛好家に披露し、剣道の真価を問うと共に、一般の方々の剣道に対する認識を更に深めようとするものである』とあります。試合はネット中継を通して全世界に配信されますので、〝栄花直輝〟としてどう試合をするかを自問自答していました」

 覚悟が決まったのは大会直前だった。自分のすべてを出し切ることに決めた。

「優勝者を決める試合に出るのはこれが最後です。試合に臨むときの所作事、構え、発声、技前など自分のすべてを出し切ることにしました。私はとくに体格に恵まれているわけではありません。幼少の頃より一つでも多くの技を身につけたいと考えて稽古を続けてきました。面、小手、胴、突き、すべての技を一本にできる剣道をしたいと思い、これまで取り組んできました。得意技はすべて見ていただくという気持ちが固まりました」

 大会直前、東海大学第四高校(現東海大札幌)の恩師古川和男範士と形稽古を行なう機会に恵まれた。

「北海道にいてもなかなか古川先生と稽古する機会はないのですが、先生の気迫に負けない仕太刀を務めるようにしました。古川先生に稽古をお願いできたこともありがたかったです」

奪った有効打突は5本
支援者の思いを胸に挑む



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