2024.6 KENDOJIDAI
撮影=笹井タカマサ
*本記事に掲載された画像の無断転載・使用を固く禁じます。
2024年4月、順天堂大学スポーツ健康科学部助教となった佐々木陽一朗選手。研究者、剣道指導者、さらには競技者としての活躍が期待されている。東松舘・高輪高校・筑波大学で日本一を経験している佐々木選手がめざす世界にせまった。
佐々木陽一朗
ささき・よういちろう/平成7年、東京都生まれ。東松舘・高輪高校から筑波大学に進み、卒業後、同大学院博士前期課程を修了し、同大学院博士後期課程に進学。筑波大学特任助教を経て、順天堂大学スポーツ健康科学部助教となる。筑波大学時代は全日本学生優勝大会優勝2回、社会人となってからは全日本選手権大会出場、全日本都道府県対抗優勝などの実績を収める。
技を出すまでの過程を重視
間合を大事にして攻め合う
2024年4月から順天堂大学スポーツ健康科学部助教となった佐々木陽一朗選手。取材は着任から2日目だったが、剣道部員が我先にと稽古を願う姿が印象的だった。
「順天堂の学生は明るく、積極的な子が多いですね。わからないことがあると『どのように攻めているのですか?』など稽古が終わったあとも質問攻めで、嬉しく思っています。これまで経験してきたことを少しでも伝えることができればと考えています」
順天堂大学スポーツ健康科学部に所属する剣道部員は約60名が在籍する。昨年11月開催の第69回関東学生剣道新人大会で順天堂大学剣道部は初優勝を果たした。
「新人戦は1年、2年生チームなので、次は4年生までが出場する関東や全日本で良い結果が残せるようにと考えています。監督は、中村充先生ですので、微力ながら貢献できればと思います」
学生たちとの稽古は技を出すまでの過程を大事にしている。間合をしっかりと図り、機会を捉えて打つこと、さらに機会を打たせることも意識している。
「2021年から筑波大学大学院博士後期課程に在籍しながら体育専門学群の特任助教として指導をする機会をいただいていました。学生との稽古はスピードに頼って技を出すのではなく、攻め合いを大事にして機会を捉えて打つことを心がけていました。順天堂にお世話になってからも、その事はとくに注意しています。ただ、順天堂にはまだ来たばかりですので、はやく順天堂の剣道部に慣れたいと思っています」
東松舘・高輪・筑波大学
強豪チームで世代トップを走る
佐々木選手は名門東松舘出身。第41回全日本少年剣道錬成大会(2006年開催)では小学生団体戦の部で優勝、翌年、個人の部で優勝と、幼少より本誌の大会レポートでは〝常連〟だった。「ありがたいことです。当時、東松舘では稽古時間が小学生低学年の部、小学生高学年・中学生の部、成人の部の三部に分かれており、中学生は成人の部にも参加可能でした。わたしも成人の部の稽古に参加し、現館長の榎本松雄先生を始めとする高段者の先生に稽古をいただく機会が幼少年の頃からありました。先生方との稽古では理に適った攻め合いをする能力が必要となりますので、稽古を積み重ねていく中で、いまも大事にしている技を出すまでの過程を大事にすることが身についていったのかもしれません」
高校は名将甲斐修二監督が率いる高輪高校に進学。インターハイは団体準優勝・個人優勝、さらに地元東京国体で高輪高校は単独チームで出場して大きな重圧の中で頂点に立った。
「甲斐先生からは3年間、基本に忠実な剣道を徹底して教えていただきました。正しい構えが正確な竹刀操作につながるのは周知のことですが、最初は正しい握りができていても、打ちたい気持ちが強くなると握りが変わり、構えも変わってしまうことがあります。構えた時の左手の納まり、打突時の左手の納まりについては、繰り返しご指導いただきました」
高輪高校卒業後、進路は筑波大学を選んだ。学生時代は4年時に団体日本一を経験した。
「筑波大学に入学してからは、甲斐先生のような、高校教員になることを志していました。筑波大学ではすばらしい先生方のもとで先輩、後輩、同期にも恵まれ、稽古と勉強を続けることができました。団体戦で優勝できたことは学生時代、最高の思い出になりました」
大学教員への憧れ
研究と指導の両立を図る
残りの記事は 剣道時代インターナショナル 有料会員の方のみご覧いただけます





No Comments