2026.10 KENDOJIDAI
撮影=笹井タカマサ
取材=栁田直子
小谷明德

得意の面で勝負
捨て切ることができた決勝戦
「前回準優勝させていただいたことはもちろん考えないようにしていましたが、大会当日はプレッシャーなどあまり感じず、自然と試合に集中できていたと思います。コンディションも悪くありませんでした」
第13回全日本選抜剣道七段選手権大会で、小谷明德選手(千葉・千葉県警察)が初優勝を果たした。前回大会では初の決勝進出を果たしたが、延長の末面返し胴を打たれた。今回こそ、の思いもあったことだろう。今年3月より千葉県警察剣道特練監督に就任。若手との稽古を通じてさらに心身を充実させることができていた。
七段戦は全国から選抜された七段16名による大会。4名による予選リーグを行ない、上位2名・計8名が決勝トーナメントに進出する。
「緒戦の相手が萩原寿矢選手(大阪府警察)でした。リーグ戦ではどれだけ勝ちを得られるかがその後の試合に影響してきますので、勝負から逃げてはいけない、逃げて勝てる相手でもない、ということで『やるか、やられるか』位の覚悟をもって入れたのが、次の試合に生きたのかなと思います」
萩原選手との緒戦を引き分け、次の勝見洋介選手(神奈川県警察)との対戦では小手と面の二本勝ち。残る鹿野允成選手(甲府商業教員)との対戦を引き分け、リーグ2位で決勝トーナメントに進出。
準々決勝で升田良選手(大阪府警察)を、準決勝で木下智成選手(香川県警察)を破り、ふたたび決勝へ。相手は、本大会優勝経験をもつ畠中宏輔選手(警視庁)。
「ここまできたら、我慢比べではないですが、(優勝を)逃したくないという思いが強く出たのかな、と思います。そのような気持ちはあせりなどの悪い感情にもつながりかねないものですが、今回は結果良い方向へ行きました」
互いに決定打がなく、延長3回に及ぶ大熱戦。「延長が続く試合になると、過去の自分の試合で負けている時は不意に合わせたり、手元を上げてしまったりして、そのようなところを捉えられていました。油断をしないようにしていましたが、どこかで勝負所で出ていかないと決まらないと感じました。それで、どこかで面で勝負をする、と考えました」
試合時間分過ぎたころ、勝機が訪れる。上下に竹刀を遣いながら攻め入った小谷選手が打ち間に入って小手を打った。その小手をよけながら下がって間合を切る畠中選手に対しさらに詰め入り、面。勝負をかけた会心の一本が決まった。
「最初に打った小手は決まらなかったですが、直後の面の一本につながったと思います。裏から表に転じて面、ですね。前回、面を打って敗れました。そのことが頭をよぎったわけではないですが、今思うとよく(勝負に)行けたな、と思います」
リスクを負わなければ勝ちもまた得られない。
何が何でも今度は勝つ、その思いが小谷選手を突き動かしたのかもしれない。
「一試合一試合、目の前の試合に集中できたのが良かったのかもしれません。『今年こそやるぞ』という気持ちを全面に出し過ぎてしまうと、私の性格上空回りをしてしまうところがあるんですが、もちろん、平常心を心がけながらも、内に秘めたものがありました。(優勝できて)ほっとしています」
特練員たちとともに
強くなる工夫
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