剣道のメンタル強化法 連載

矢野宏光:勝利の裏側、意識と無意識

2020年6月24日

私がこの執筆で目指したことは、単に難解な心理学研究の知識やトピックを示すのではなく、様々なレベルの剣士やアスリートが日々の中で「感じ」、「考え」、「実行」してきたことを心理学の理論と方法論に乗せながら、できるだけ具体的でわかりやすく解説することでした。

各稿は、心理学の一テーマと剣道や日常場面とをリンクさせながらストーリー展開することをベースとしています。その中の一フレーズでも心に留まり、明日からの剣道の拠り所となってくれたら著者としてはこの上ない喜びです。

矢野宏光(やの・ひろみつ)

1968(昭和43)年秋田県湯沢市生まれ。東海大学体育学部武道学科剣道コース卒業。東海大学大学院修士課程体育学研究科(運動心理学)修了。名古屋大学大学院博士後期課程教育発達科学研究科(心理学)満期退学。
現在、国立大学法人高知大学教育学部門 教授。スポーツ心理学のスペシャリストとしてさまざまな競技のサポートに取り組むと同時に同大学剣道部監督。また、スウェーデン王国剣道ナショナル・チーム監督(2004~2009)など国際的にも活躍。一貫して「こころ」と「からだ」のつながりに焦点をあてた研究活動を展開。全日本東西対抗剣道大会出場(優秀試合賞1回)など。剣道教士七段。

令和初の大学日本一を決める第67回全日本学生剣道優勝大会が2019年10月27日、千葉市・千葉ポートアリーナを会場として開催されました。結果は中央大が優勝し、見事二連覇を飾りました。

この大会には著者が監督を務める高知大も出場していて、偶然にも中央大と同じホテルに宿泊していたため、彼らが二連覇を成し遂げる過程の一端を間近に見ることができました。

会場周辺に位置するこのホテルには多くの出場選手が宿泊していて満室状態。そのため、朝食は混雑し、6時半を少しまわった頃には、すでに朝食会場に長い列ができていました。

「予定どおりにホテルを出発できるだろうか」。

列に並ぶ人がみなそう思っていたに違いありません。そんな中、すでに食事を終えつつある中央大の選手達の姿がありました。チームはまとまって粛々と食事を済ませ、さらに延びた長い列を尻目に朝食会場を後にしていきました。



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