2009.01 KENDOJIDAI
昭和59年、国際武道大学の開学と同時に助教授として赴任。現在、同校の副学長をつとめる蒔田実教士。剣道指導者を養成する専門大学の指導者として教壇に立ち、教え子は寺本将司選手(第55回全日本選手権大会優勝)、若生大輔選手(第56回全日本選手権大会準優勝)など平成の剣道界で活躍している。
競技者としても世界選手権大会優勝、全剣連設立50周年記念八段選抜優勝大会で準優勝を果たすなど輝かしい実績を残す。その蒔田教師が指導体験、競技体験のすべてを伝える。
1時限目 剣道稽古の目的
2時限目 攻めと打突を連動させる
3時限目 仕かけ技を身につける
4時限目 応じ技を身につける
5時限目 素振りを実戦に直結させる
6時限目 昇段審査の心得
蒔田 実(まきた・みのる)
昭和23年大阪府生まれ、PL学園高から東海大に進み、卒業後、日本運送(現フットワークエクスプレス)に入社。昭和59年の国際武道大学開学と同時に同校の助教授となる。世界選手権大会個人優勝、全剣連設立50周年記念全日本選抜八段優勝大会2位、全日本選手権大会、全日本東西対抗、国体などに出場。現在、国際武道大学副学長、剣道部師範、剣道教士八段。
稽古は一本を打つためにある
剣道は、稽古の良し悪しが上達に影響します。よってその方法が重要だといわれているのは周知の通りです。それではよい稽古とは具体的になにかというと、一概には言い切れないものがありますが、剣道は一本、すなわち有効打突を求め合うものですので、各種稽古はそこをめざして行なうべきです。剣道は相手と対峙し、竹刀を交えるなかで攻め合い、一本を求め合うものです。切り返し、掛かり稽古、地稽古、素振りなどさまざまな稽古法がありますが、いずれも有効打突を打つことを目的に考案されたものであり、切り返しのための切り返し、掛かり稽古のための掛かり稽古ではないのです。
しかし、剣道は道具をつけ、相手と打ち合い、汗を流すとそれなりに満足感を得られるものです。ましてや稽古終了後、第二道場に向かい、おいしいビールを飲むとなると、それだけで心は満たされてしまうものです。剣道を続けている理由は、人それぞれです。健康、余暇の善用、試合に勝つなど、それぞれ違うかもしれませんが、どんな理由であれ、剣道が上手になりたいという気持ちはいくつになってもあるはずです。上手になるということは、一本がたくさん打てるようになる、という言葉でも置き換えられます。
よって剣道の理合を考え、一本を求めて稽古することが重要です。剣道はただ相手の面や胴に打ち込めば一本になるというものではありません。有効打突には「充実した気勢」「適正な姿勢」「刃筋」などいくつかの条件がありますが、それらをすべて満たしていなければなりません。そのことを意識し、常にいまの打突は一本になっていたか否かを確認する姿勢がまずは大切です。そして遠い目標、近い目標などいくつか明確な目標を立て、それに向かって稽古をするようにしましょう。稽古することを目的にしている方もいますが、稽古することだけを目的にすると、回数をこなした時点で達成されてしまいますので注意が必要です。
大切にしたい開始線の距離
錬り合いはここから始めるもの
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