ヨーロッパ

ヨーロッパ剣道、新たな時代の夜明け

2022年6月21日
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新型コロナウイルスの影響で第30回大会の開催が見送られ、3年ぶり31回目の開催を迎えたヨーロッパ剣道選手権大会(以下、EKC)。欧州においては、アフターコロナのルールが適用された初めての公式国際戦だ。参加国は32カ国。男子、女子、ジュニアの団体(男女は5人制、ジュニアは3人制)・個人の部計6部門が設けられ、男女ともにフランスが団体優勝、ジュニアの部ではセルビアが前回大会に引き続き優勝を飾った。選手たちは再会を喜び、試合の再開を祝福しあった。コロナで失ったものも大きかったが、剣道ができる喜びが爆発した大会だったように思う。圧倒的な存在感を放ってきたフランスだけではなく、コロナに耐え、結束を強めた国々が強いプレゼンスを示した。長いロックダウンが終わりを告げ、ヨーロッパ剣道は夜明けを迎えた。

レポート=佐藤まり子

第31回ヨーロッパ剣道選手権大会レポート

開催日時:令和4年5月27日(金)~29日(日)
場所:スポルト&フライツァイトゼントラム カルバフ(ドイツ)大会の写真は、ぜひKendo Jidai Internationalの公式Instagramアカウントをご覧ください。

男子団体:王者フランス4連覇最多23回目の優勝

〈大将戦〉K・ナカバヤシ(フランス)反・メ―Y・カツカワ(イタリア) 

決勝●フランス 2―2 イタリア

4連覇23回目の優勝を目前にしたフランス。2-1のスコアでフランスが不利な状態で大将戦に。厳しい状況にも関わらず、ナカバヤシ選手は気勢を充実させ、猛攻をかける。押されたカツカワ選手から反則2回を奪取。さらに試合終盤、カツカワ選手が打突後、体勢を崩したところを見逃さずメンを決めた。勝ち数同数、1本の本数差で王者の座を守った。

優勝:フランス
二位:イタリア
三位:ドイツ/ポーランド

男子個人:190cm長身同士の真っ向勝負。フランスが三連覇

決勝●K・ルカス (イギリス)コ― メメ L・プシェヴウオツキ(フランス)

互いに190cm台と長身の両選手。フランスのL・プシェヴウオツキ選手はジュニアの部への出場経験があったが、大人男子の部は初出場。一方、K・ルカス選手は本大会を目指して猛烈な稽古を積んできた。L・プシェヴウオツキ選手がメンを先取し、すかさずK・ルカス選手が出ばなを捉えたコテを返す。最後は面勝負。フランスに軍配が上がった。

優勝:L・プシェヴウオツキ(フランス)
二位:K・ルカス (イギリス)
三位:K・マエモト (ベルギー) / H・オオノ (ドイツ)

女子団体:コロナ禍もチーム作りに励み、圧倒的なスコアで王座に返り咲く

決勝●フランス 4―1 ドイツ

〈中堅戦〉S・アデ(ドイツ)メ・コ―M・ヴァンデルベルグ(フランス)

前回大会ではメンバーの代替わり直後で惜しくも優勝を逃したフランス。コロナ禍の最中ながらチームづくりに励み今大会に臨んだ。先鋒・次鋒・副将・大将が全て2本勝ち。圧倒的と言って良い結果で優勝をさらった。一方のドイツは中堅のS・アデ選手が決勝戦の試合の最中に負傷するというアクシデントに見舞われながらも善戦。豪快なメンと、機会を捉えた見事なコテを決めた。

優勝:フランス
二位:ドイツ
三位:フィンランド、ポーランド

女子個人:ベルギー女子念願の個人初優勝。フィジカルを生かした豪快なメン

決勝●R・オーグル(イギリス)― メメF・ドント (ベルギー)

2017年のEKCでは個人戦3位、世界大会出場などの経験を持つF・ドント選手。長い手足とフィジカル面での強さが光る選手だ。ドント選手は、決勝を次のように振り返る。「準決勝で勝った直後、ヨーロッパチャンピオンになるという夢が頭の中を駆け巡りました。信じられないという気持ちと、興奮が入り混じっていました。構えの感触をリアルに感じながら、相手の隙を探り、緊張をコントロールしました。何よりも意識したのは自分の剣道を貫くこと」遠間から勢いのある飛び込み面を放ち、メンを二本奪取。初優勝を飾った。

優勝:F・ドント (ベルギー)
準優勝:R・オーグル (イギリス)
3位:A・グデチック (ポーランド) / L・ヴァン ラーケンー古賀 (ベルギー)

ジュニア団体:セルビア二連覇。入念な準備が実を結ぶ

決勝●セルビア 2―1 フランス

〈先鋒戦〉L・イリッチ(セルビア)メメ―Y・ナイトウ(フランス) 

前回大会で初優勝を果たしたセルビア。今大会も万全の準備で臨む。個人戦でも優勝した上段のL・イリッチ選手がメンを二本決め、続く中堅のD・ガジック選手も二本勝ち。大将戦はフランスのT・アンリヴィエル選手がメンを二本決めるが、2-1でセルビアが王座を守った。

​​優勝:セルビア
準優勝:フランス
3位:ポーランド、スイス

ジュニア個人戦:個人・団体ともにセルビアが優勝。育成計画実る

決勝●イリッチ(セルビア) コ―T・アデインカ (イギリス)

前回大会からジュニアの部で強いプレゼンスを示していたセルビア。今大会では個人戦でも優勝を飾った。団体戦でも活躍したL・イリッチ選手が延長の末コテを決め優勝。L・イリッチ選手は上段選手。勢いのあるメンが大会を通して印象的だった。対するT・アデインカ選手は剣道歴10年。「上段対策はしてきた。左コテや、さらにメンのすりあげや返しメンを狙いましたが…残心が足りなかったかも。僕は今年16歳で、来年もEKCに出場できます。次は金メダルを狙いたい」と振り返り、次回大会への意気込みを語った。

優勝:L・イリッチ(セルビア)
準優勝:T・アデインカ (イギリス)
3位:F・シュピラレウィッツ(ドイツ) / N・メディナウォルポート(スペイン)

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