出ばな 小手

相面・出小手は必修科目だ(船津晋治)

2023年5月1日

2023.1 KendoJIDAI
構成=寺岡智之
写真=西口邦彦

「相手の竹刀を触ることで、中心を制しつつ相手の剣先を殺すことができます」。八段大会で2度の優勝経験を持つ船津晋治範士はそう語る。どうすれば相面や出小手を打つ好機を生み出すことができるのか。相手を引き出す技術を中心に、船津範士の実戦と指導の経験から語ってもらったー。

船津晋治 範士八段

ふなつ・しんじ/昭和30年生まれ、長崎県出身。西海学園高校を卒業後、大阪府警に奉職する。主な戦績として、全日本選抜八段優勝大会優勝2回、世界選手権大会団体優勝、全国警察大会団体優勝など。大阪府警剣道主席師範を最後に退職し、現在は甲子園学院中学・高校をはじめ全国各地で後進の指導にあたる。剣道範士八段

「基本」と「稽古」と「試合」
三位一体で取り組むことが重要

 まずは稽古の求め方について、一つお話ししておきたいと思います。とくに大人の稽古会においては、わずかな準備運動ののち、すぐに地稽古へ移ることが多いと思います。それぞれが日々の生活からなんとか時間を捻出して稽古に臨んでおられるのは理解できるところではありますが、できることなら地稽古だけでなく、基本稽古も取り入れていただきたいと思います。

「基本」と「稽古(地稽古)」と「試合」は、三位一体で取り組んでこそ上達への道筋が見えてきます。基本で身につけたことを稽古で試す。それが稽古でうまくいったのなら試合で使ってみる。試合は相手もいることなので、稽古の通りにいかないことも多々あるでしょう。稽古ではうまくいったのになぜ試合では通用しなかったのか、そこを考えながら、また基本稽古に励むわけです。この繰り返しなくして剣の上達を望むことはできないと、私は肝に銘じています。

 年齢を重ねていけば、愛好家の最終目標はほとんどの方が六~八段への昇段だと思います。そのとき、基本と稽古と試合への取り組み方が違ってくると、上達の進度が大きく変わってしまいます。よく、審査に向けては自分の剣道を変えていかなければならないという意見を聞きます。これは、先ほど述べた三つの要素への取り組み方がそれぞれ違うことから、そのような必要性が出てきてしまうのです。日ごろから一貫して正しい剣道を求めていれば、ありのままで審査に臨むことができるでしょうし、合格も近づいてくるものと、私は考えています。

中心を攻めつつ竹刀を触り相手を引き出して打ち切る



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