出ばな

出ばな技を習得せよ(勝見洋介)

2025年2月17日

2024.12 KENDOJIDAI

構成=土屋智弘
写真=杉能信介

出ばな技を得意として磨き上げ、幾多の名勝負で一本を決めてきた勝見洋介錬士。その出ばなにかける想いや、長年の研究・錬磨から生み出される華麗な出ばな技についてお聞きした。

勝見洋介 錬士七段

かつみ・ようすけ/昭和61年生まれ。岡山県倉敷市出身。3歳より福田道場で剣道を始める。倉敷高校から鹿屋体育大学に進み、卒業後は神奈川県警察に奉職。世界剣道選手権大会団体優勝2回・個人出場、全日本剣道選手権大会優勝、全国警察大会団体優勝、全日本東西対抗出場など。現在、神奈川県警察剣道特練コーチ。

相手を引き込み
機会を作る出ばな面

 私は学生時代より出ばな技を得意としていますが、身長が169センチと体格に恵まれているわけでもなく、腕のリーチが特別に長いわけでもありません。それでも出ばな面を決めたいという想いで、稽古を重ね、技を磨いてきました。今回は私なりの出ばな技について述べさせていただきたいと思います。

 単純に「よーいどん」で、背の高い選手と面を打ち合えば、物理的にこちらの面が敵うわけはありません。しかし、剣道の機会というのは千差万別で、わずかな心理的なブレや揺れが、技の出現に影響することは、剣道をある程度やられている方にとっては自明なことだと思います。

 その中で私が重視しているのは、相手を引き込むということです。ギリギリまで相手の出を我慢することで、相手の技を見極め、その起こりを捉えます。もちろんこちらの備えとしては、構えを崩さず、左足をしっかりと作っておき、いつでも打突を出せる準備をしておくことは言うまでもありません。そのため前に出る時も、後ろに引く時も足幅は常に一定になるよう心がけております。

 そして相手を引き込むということは、自分の肚づもりがしっかりとできていなければいけませんし、自分が打ちたいという気持ちが強いと、色となって相手に悟られてしまいます。ギリギリの攻防の中で、常に相手に乗る意識を醸成しながら、相手が「行ける」「この機会だ」と打ち気に逸り、出てくるところで、間髪いれずに打突を打ち込みます。感覚的な面が強いので、言葉でお伝えするのが難しいのですが、ボクシングでいうところの、カウンターパンチをイメージしていただけると伝わりやすいかと思います。

ギリギリまで我慢し
自然と技が出るのが理想



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