稽古方法

大人開始組のための剣道講座(後編)

2025年12月8日

2025.11 KENDOJIDAI

構成=寺岡智之
撮影=西口邦彦
*本記事に掲載された画像の無断転載・使用を固く禁じます。

剣道は幼少期から始めなければならないものと思われているが、そんなことはない。剣道を長く続けていくために、楽しく上達していくコツを初音劔志塾塾長で教士八段髙橋海有氏が解説する。

髙橋 海有 教士八段

たかはし・かいゆう/昭和40年生まれ、東京都出身。巣鴨高校から大正大学に進学し、昭和63年より初音剣道教室(現・初音劔志塾)を主宰する。現在は台東初音幼稚園園長、真言宗豊山派観智院副住職、保護司、初音劔志塾塾長、大正大学剣道部師範などを務めている。剣道教士八段

1か月目:正しい基礎を体に入れよう

 1か月目は剣道という武道に触れ合い、楽しんでもらうことを目的とします。どんなスポーツもそうですが、導入がつまらないとやる気が削がれてしまうものです。指導者側としては、できなくてもダメ出しをするのではなく、できたところを褒めて継続意欲を高めていく工夫が必要でしょう。

 まず何よりも覚えてもらいたいのが礼法です。礼法は武道の入り口であり、これができるようになるだけでも、武道を学んでいるんだという実感が湧いてきます。立礼、正座などの方法は社会人であっても学んだことのない人の方が多いでしょうから、入門段階でしっかりと身につけておくとよいと思います。

 竹刀を持ったら正しい握りと中段の構えを覚えます。握りは剣道経験が長くても、正しく握れていない方を散見します。握りが悪いとその後の技術習得に悪影響を及ぼすので、正しい握りと構えを指導者が確認してあげながら覚えるとよいでしょう。

 正しく構えることができたのちは、その構えを崩さないように足さばきを行ないます。初心のうちは竹刀を持たずに稽古をするのもよいと思います。剣道には送り足、歩み足、開き足、継ぎ足の四種がありますが、最初は前後左右に自由に動くことができるように、送り足と開き足を重点的に稽古していきます。

 素振りについては面打ちだけでなく、左右面や小手、胴なども空間打突として行なっておくと、その後の技術習得が容易になります。社会人になってから運動をしてこなかった人にとっては、何十本も素振りをするのはとても大変な作業です。それぞれを20本振っても100本近い本数になりますので、個々の体力に応じて本数は調整しましょう。

 構えから面の素振りをスムーズに行なえるようになれば、正しい面打ちの動作も難なく習得できるはずです。ここまでが1か月目の目標となります。

立礼

剣道の立礼は、相手は状況によって頭を下げる角度が異なる。稽古や試合などで相手に向かって行なう場合は15度、稽古の前後で先生や神前・仏前に向かって行なう場合は30度の角度で頭を下げる

正座・座礼

正座は「左座右起」という言葉にもあるように、座るときは左足から、立ち上がるときは右足から動く。座礼は両手で三角形をつくり、そこに向かって背中を丸めないように注意しながら頭を下げていく

竹刀の握り

竹刀は横からではなく上から握るのが基本。横から握ると正しい振り方ができなくなる。親指が下を向いていれば上から握ることができている証拠

構え

構えは左拳を自身の正中線上に据え、初心者は相手に向か ってまっすぐ剣先を向ける

すり足

すり足は剣道の動作における基本中の基本。まずは前後の送り足と開き足を身につける。前身する際は左足始動、後退の際は右足始動で体を押すイメージを持つ

2か月目 打突と剣道具に慣れよう



残りの記事は 剣道時代インターナショナル 有料会員の方のみご覧いただけます

ログイン

or

登録

登録


Subscribe by:

You Might Also Like

No Comments

Leave a Reply