2026.10 KENDOJIDAI
第13回全日本選抜七段選手権大会で悲願の初優勝を遂げた小谷選手。この1日を通じて、あらためて「自分の剣道を貫く」ことが大切だと実感したという。
「私の剣道の根幹は足にあると思います」と語る、小谷選手の足と打突について、ご解説をいただいた。
小谷明德

私の剣道の根幹は「足」にあると感じています。
私は地元千葉の国際武道大学を卒業後、縁あって千葉県警察に奉職しました。学生時代は全日本学生大会団体ベスト8、個人戦では全国大会に出場できず、悔しい思いをしました。それが警察という厳しい世界に挑戦するきっかけになりました。
勝負の世界は甘くはなく、甘い所を見逃さず打たれてしまいます。特練員1年目から警察剣道の厳しさを痛感させられました。足が止まった瞬間などはとくにそうです。スピードもパワーもものすごいものがあり、圧倒されました。そこで、「先を取る、積極的な剣道で一本を取りに行く」ことを徹底するようになったのですが、そのためにも「足」について工夫するようになりました。
「一本を取るためには、攻撃力を上げる必要がある」と感じていた中で、攻めの幅を広げることを心がけ、とくに上下・表裏の攻めを意識するようになりました。上下左右の竹刀操作とともに、攻め足で前後左右、時に斜めから攻め入り方を工夫することで、相手の四戒を誘発するものです。この意識は現在も続いています。
今年6月の全日本選抜七段選手権大会においても「足を止めない意識」は大切にしていました。実際、決まった技は、どれも攻め口は異なるものでした。真っ直ぐな面だけでなく、裏から攻める、あるいは裏を意識させて表に転じる、といった攻め方は私の持ち味でもあります。
足遣いは、それ自体が「攻め」に直結するものだと思います。
「一拍子で打ち切る踏み込みの力」や、「表から・裏から柔軟に攻め入る攻め足の動き」が、相手へ脅威を与えることにつながります。そのことを踏まえた上で、前後左右から(裏から、表から、上から、下から)攻めることで、相手に「いつ来るのか、どの間合から来るのか」という不安をあおることで、私にも相手と戦える余地があるのではないかと考えています。また、裏からの攻めについては、実際、私も裏から相手に中心を取られると、表からの攻めより慣れていない分、押さえ返すなどの対処の仕方が難しいと感じています。「やりにくい」と感じさせることもまた、相手に四戒を生じさせるきっかけとなると思います。
試合においては、こちらが相手を攻め崩し・かつ打つ体勢がしっかりつくれている万全な状態をつくることは容易ではありません。様々な攻め口・足の遣い方を学んだ上で、かつそれを使いこなせるために、あえて、万全の体勢でなくても一本に決め切れるくらいの打ち切り、左足の寄せなどを学ぶようにしています。
あともうひとつ、足攻めにおいては「足を止めないこと」も重要なポイントだと思っています。足を止めず、常に先手を取る意識が攻めること、打突の好機をつくることにつながるからです。常に足を動かすことになりますから、慣れないと足が疲れると思います。基本的な持久力・筋力といった面でも鍛えるように心がけないといけません。私も40歳を過ぎて以前よりも跳べなくなっている自覚がありますので、トレーニングなども行ない、体力・筋力の強化、維持を心がけています。
これは余談ですが、体力・筋力的な衰えを対戦相手になるべく見せないようにしています。疲れやキツイ、という気持ちを相手にさとられると、そこを逆手に取られる可能性もありますし、そういったネガティブな感情が試合心理にも影響しやすいです。
次の項目から、私が実際に技を決める時の足遣いについてご紹介したいと思います。
裏から左に旋回して小手・面
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