2019.1 KENDOJIDAI
鍋山教士は普段、剣道経験のない学生に対し、授業で剣道を教えている。限られた時間で剣道の魅力をつたえるために日々、工夫・研究を続けているが、基礎動作を覚えさせるためには、具体的に剣道の動きをイメージさせることが重要と説く。
身体の動きを理解することが、基礎習得につながり、応用動作へと発展していく。剣道の基礎動作はこうして身につける。
鍋山隆弘(なべやま・たかひろ)教士八段
昭和44年生まれ、福岡県出身。今宿少年剣道部で剣道をはじめ、PL学園高から筑波大へと進学。学生時代はインターハイ個人団体優勝、全日本学生優勝大会優勝など輝かしい戦績を残す。大学卒業後は同大大学院を経て研究者の道へ。全日本剣道選手権大会出場、世界剣道選手権大会出場2回、全国教職員大会優勝など。現在筑波大学体育系准教授、筑波大学剣道部男子監督。
目次
- 構え
- 足さばき
- 踏み切りと踏み込み
- 気剣体一致
- 実戦打ち込み
構え
私は普段、体育を専門としない一般学生を対象に剣道を教えています。剣道経験がない学生に対し、どのように伝えれば、剣道をより理解してもらえるかを考えていますが、そのことが結果として私の剣道にも役立っています。
まずは構えです。竹刀の握り方は小指、薬指、中指を締め、親指と人差し指は軽く握ると教えていますが、我々は親指と人差し指を中心に使って日常生活を送っています。よって小指、薬指、中指を中心に握ることを伝えてもなかなかできませんので、まずはこの三指のみで竹刀を握るように指導しています。
小指、薬指、中指だけで握らせることで、前腕の内側にある尺側手根屈筋を使った打ちにつながることを理解させます。両手の親指と人差し指に力を入れられない状態で竹刀を振れば、腕に余計な力が入りません。
初心者は、相手と対峙して構えていると、どうしても力が入ってしまうものです。とくに間合が接近すると「打ちたい、打たれたくない」という気持ちになり、両手の親指と人差し指に過度な力が入ってしまいます。
そのような状態から技を出しても、冴えた打ちにはならないので、まずは小指、薬指、中指で握ることを覚えさせます。
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