2026.9 KENDOJIDAI
観戦記=吉成正大
取材=柳田直子、寺岡智之
撮影=西口邦彦、笹井タカマサ
第13回全日本選抜剣道七段選手権大会を制し、見事七段位の頂点に立ったのは小谷明德選手(千葉)。前回大会に続いて2年連続となる決勝進出を果たし、11回大会覇者の畠中宏輔選手(東京)を破って初優勝を叶えた。全国から選りすぐられた16名の精鋭たちが一堂に会し、最高峰の技術と精神力をぶつけ合う唯一無二の舞台。年齢や経験を重ねてなお、己の剣を追求し続ける「七段の剣道」の奥深さが随所に感じられる、熱き一日となった。
【決勝】極限の削り合いの果てに、小谷がみせた捨て身の一刀
かたや一昨年・第11回大会の覇者、かたや昨年の準優勝者。畠中選手39歳、小谷選手41歳。ともにはつらつとした積極果敢な攻撃力でここまで勝ち上がってきた。
主審の「はじめ」の宣告と同時に、小刻みに足を使いながら左へ展開する小谷選手。互いに響き渡る充実した気合。若手にも劣らぬスピードを持つ二人の攻防は、一瞬の瞬きすら許さない緊密さを保ちつつ交刃の間合へと入る。
初太刀は畠中選手。小谷選手の詰めに面をフェイントして小手、これを小谷選手は表鎬でコンパクトに返して面。さながらボクシングのジャブの応酬といった立ち上がりだ。二合目も畠中選手。間詰めから思い切って面に伸びるが、小谷選手は足でこれをさばく。足幅を前後に広くとって構える小谷選手は見た目以上に懐が深い。それでいて、左足を引きつけて攻め入るスピードは速い。三合目は小谷選手。交刃の間合で煽るように攻め、面にフェイントを入れてさらに面に打って出る。畠中選手が表鎬でかわすものの、厳しい打突であった。
とはいえ畠中選手もすぐに自らの間合へと引き戻し、ミリ単位の足さばきで間合を詰めて小谷選手に強いプレッシャーをかけていく。中盤から終盤にかけて、相手にペースを握らせまいとする両者の意地がぶつかり合い、気の抜けない緊迫した攻防が続いた。終盤に入ると、小谷選手が「ここしかない」という刹那の機をとらえて鋭い手首の返しから払い面、4分30秒を回ったところでは間詰めから強烈な小手を放ち、畠中選手の鉄壁のガードをこじ開けにかかる。会場に響き渡る冴えた打突音は、畠中選手の手元へ確実に意識を植えつけ、精神的な重圧を与えているように見えた。

延長戦に入ってからも、小谷選手が自分のスタイルを崩さずに攻める。対する畠中選手はやや攻めあぐねているようにも映る。しかし延長1回目の終了間際、小谷選手が剣先をうかがうように低く付けた一瞬の隙を見逃さず、畠中選手が裏から真ん中へ鋭い突きをドンと突き刺す。わずかに右に逸れたが、実に惜しい一打であった。
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