剣道の技

完全なる面を打つ:鍋山隆弘(後編)

2019年10月1日

※この記事は『剣道時代 2015年12月号』に掲載されたものです。

手元を前に出していく感覚で面を打つ。
竹刀の軌道は、最短距離

面で一本を取ることを考えた場合に、一番理想的なのは構えたところから剣先が最短距離を通って相手の面をとらえることです。そのために私が意識しているのは、手元を前に出すような感覚での打ち出しです。

竹刀を右手で引き上げるようにして振り上げると、剣先が大きく動くことで相手は防御の姿勢をとります。こうなってしまうとなかなか相手を打つことはできません。起こりが小さければ相手に気づかれることなく打突のモーションに入ることができます。加えて、手元を上げないことで出小手のリスクを回避することもできます。

実際にやってみると分かりますが、手元を前に出す感覚で打ち出すと、振り上げるときよりも竹刀の重みを感じません。竹刀は上げていくと下ろすのに力が必要です。剣先が上がらない方が、力を入れずに前に出すことができます。竹刀の振り幅が小さい分、打突の威力も弱くなりがちですが、そこは踏み込みの勢いでカバーします。私のなかでは、面の少し上まで剣先を伸ばしていきながら、体重をかけて落としていくイメージで面を打っています。

竹刀はあまり振り上げず、手元を前に出していく感覚で打ち出す。
面の少し上まで剣先を伸ばしていき、体重をかけながら落としていく

足を継がない面打ちで、相手に恐怖心を植えつける



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