剣道のメンタル強化法

矢野宏光:剣道のメンタル強化法 vol.10 一流剣士はこうして百%の力を出していた

2023年3月6日

 私がこの執筆で目指したことは、単に難解な心理学研究の知識やトピックを示すのでは

なく、様々なレベルの剣士やアスリートが日々の中で「感じ」、「考え」、「実行」してきたことを心理学の理論と方法論に乗せながら、できるだけ具体的でわかりやすく解説することでした。各稿は、心理学の一テーマと剣道や日常場面とをリンクさせながらストーリー展開することをベースとしています。その中の一フレーズでも心に留まり、明日からの剣道の拠り所となってくれたら著者としてはこの上ない喜びです。

矢野宏光(やの・ひろみつ)

1968(昭和43)年 秋田県湯沢市生まれ。
東海大学体育学部武道学科剣道コース卒業。東海大学大学院修士課程体育学研究科(運動心理学)修了。名古屋大学大学院博士後期課程教育発達科学研究科(心理学)満期退学。
現在、国立大学法人高知大学教育学部門 教授。スポーツ心理学のスペシャリストとしてさまざまな競技のサポートに取り組むと同時に同大学剣道部監督。また、スウェーデン王国剣道ナショナル・チーム監督(2004~2009)など国際的にも活躍。一貫して「こころ」と「からだ」のつながりに焦点をあてた研究活動を展開。全日本東西対抗剣道大会出場(優秀試合賞1回)など。剣道教士七段。

一流剣士はこうして百%の力を出していた

 私は過去、全国から選抜された日本のトップ剣士たち(全日本剣道連盟ナショナルチーム候補選手三十五名、以下N群)の心理的競技能力とメンタルコンディションについて調査・分析をする機会を得ました。この研究の目的は、大学生剣道選手(以下U群)との比較からN群の心理的な強さと特徴を明らかにしようというものでした。

 この調査結果からいくつかの知見が導き出されました。ひとつは、意外にもN群が感じる特性的な不安や緊張の量(強さ)はU群のそれとはそれほど大差はないということです(矢野、一九九二)。これは、剣道のトップ選手であっても、試合の前には強い緊張を感じたりしていることを意味します。



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